下北沢、駅前劇場にてペテカンという劇団さんのお芝居でした。 同じ脚本を、男×男ver.と女×女ver.とでやっていて、私は男バージョンを観ました。
…いやあ、最高でした。 今まで観たことのあるブイ関係の舞台のどれとも違う…面白かったと言ってしまうのはきっと間違い。そんな言葉は的はずれで、でも私はこの気持ちを表わす言葉を知らない。 誤謬を恐れずに言えばきっと「感動した」
凄いよかった。 これがビデオにならないのが残念でならない(前回の公演はビデオ化したらしく、ロビーで販売してた) 今回はビデオ化には問題があったんだって(多分桟敷まで作ってたし、劇場の高さもなかったから、録ると客の頭まで入っちゃうんだと思う…それでもいいのに)
走って入ってきた丹野さんが、開口一番「篠原は?」と尋ね、いないと言われてソファに倒れこんだシィンとか、言葉ではない方法で伝えられた気持ちが多かった芝居でした。
主人公二人の気持ちが擦れ違ってしまっているシィンは泣きそうになって、丹野さんを抱き締めかけて下ろされる、篠原さんの腕が切なかった。 どうしようもなくて、赤い目して椅子に膝抱えて、牛乳飲んでる丹野さんが可愛くて哀しかった。
最後、丹野さんの膝枕でねむっていた篠原さんが、丹野さんが好みのタイプを芸能人で「浅野忠信」言うたとき「俺じゃないのかよ」とふてくされたみたいに言ったのに「好き」とか「愛してる」とか一度も言わないままなのに凄い好きなんだってことが分かった。
ラストシィンは、その膝枕の状態のままで、丹野さんがゆっくりと篠原さんの髪をなで−−暗転でした。
そのときの丹野さんの表情がまたたまらなくて…愛しくてたまらないんだなって。 同時に凄い切なかった。 二人の関係がとても危うい、紙一重の場所にいるんだって、何も解決してないんだって二人の表情で分かった。
この芝居は、幕が開いたときに主人公二人は何かの問題を抱えていて、幕が下りてもそれは解決しないまま。 何も始まらないし何も終わらない。 私たち(観客)は、本当に生きてる篠原さんと丹野さんという恋人たちを中心に、切り取られた日常の断片を観せて貰っただけ。
経緯の説明もなければ、誰もが納得する終わりもない。 もどかしくて、でもだからこそこんなにも胸を打つ。
役者さんにも脚本にも演出にも、金額に見合う価値があった。 凄いの一言。
本当にもう、最高でした。
もう一回みたいけどそれはどうしても無理。 せめて忘れないように。
自分が今度役者やるとか照明どうとか、結構どうでもよかった。 明かりは少し、参考になるなと思ったけど。 でも多分、自分がこの芝居に例えば照明として参加していたら、この感動はなかったと思います。
百パーセントの受け手でいられるということは、なんて幸福なことなのだろう。
いや、何度言っても足りぬくらい、素敵な芝居でした。
繊細で、僅かの衝撃で粉々に砕けてしまう硝子細工を、二人で不器用ながらも守ってる。 その行為を指して愛と呼ぶのだと思いました。 だから言葉じゃ伝わらないし何か違うって思ってしまうんじゃないかな。
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