ぼくたちは世界から忘れ去られているんだ

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2002年05月20日(月) 嘘つき鴉月の石を食べたの。
 あんまり雨が続いたもんだから、あたしたちは、溶けて、ぐずぐずになって、まるでゼリーのようになり、それでも手を繋いで、何とか立っている。



 ハロー、と鴉が云った。
「俺はアメリカ人なんだ。勝者だぜ」
白々しい口調でそういうと、鴉は飛んでいった。

 あたしはもう一度鴉に、ハロー、と云って欲しいと思った。

 つらいつらいといいながらげらげら笑い、彼女は走り去った。

 彼は全てを拒絶するように見せかけて、全てに受け入れられようと必死だった。
 ドゥノットの命令文。ドゥノットビー。

 それではさようなら。

 もうきっとずっと会えない人がいる。
 わたしは悲しくて、でもなけもせず、一人、命令文を考えていた。

 彼女にわたしの最後の言葉は、届いただろうか。








 さようなら、なんて言葉は空回り、ちりぢり、そしてまたさようなら


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