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■ 手と手の距離
悲しい夢を見た。
どこかの建物。 きっと広い広いデパート。 私は、エスカレーターに乗る。 大勢の他人に囲まれて、ひたすら上を目指してる。
私は、誰かを追いかけてる。 大勢の他人の中の、たった一人を。 それは確かに私の大好きな人だ。 おそらく「彼」だ。
「待って」と叫ぶ。心の中で。 彼は走ってエスカレーターをどんどん駆け上がってしまう。 私も、走る。 彼の背中を追いかける。
「追いつけないよ・・・」 そう思った瞬間、彼は立ち止まった。 そうして、手を伸ばしてきた。
私は嬉しさのあまり、無邪気に手を伸ばした。
・・・・・・届かない。
一瞬の後、彼はまた走り出す。
「待って」 私は、また走り出す。 大勢の他人の中をかき分けて。 彼の背中だけを、見つめながら。
「追いつけない・・・」 そう思った瞬間、やはり彼は立ち止まる。 また、手を伸ばしてきた。
それは掴むことの出来ない手だった。 伸ばした手と手は、僅か数センチ、届かない距離にあった。
その距離は永遠に等しい遠さのようだった。
あまりに悲しくて、目覚めた瞬間は泣いてしまった。
2002年06月26日(水)
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