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2003年06月22日(日) 眩暈の季節

 昼間に見た山田太一ドラマの『想い出づくり。』のワンシーン。結婚式当日、森昌子が友人の古手川祐子、田中裕子と共に控え室に閉じこもり結婚をやめると言う。ドアに机や椅子でバリケードを作り、終いにはトイレにこもる。そこで僕は厭ぁ〜なことを思い出した。

 小学校5年。丁度うしろゆびさされ組が流行っていた頃、僕にはUさんと言う好きな女の娘が居た。Uさんは小柄でポニーテールが似合ような娘。たまたま近くの席になり、話すことも多くなった。Uさんは同じ班のFさんという女の娘と交換日記をしていた。2人がそのノートを手渡ししている時に、ちょっとでも覗こうものなら「わーきゃー」と叫びまくった。もちろんノートにはUさんの好きな男子のことが書いてあるだろうし、僕はそれが知りたくて仕方なかった。
 ある掃除の時間、僕は教室で掃除をしていた。誰かがFさんの机を運んでいて、何かの弾みに倒して机の中の物が全部出てしまった。そこで例の交換日記のノートを見つけた僕は、それを見たい!という衝動を押さえられなかった。ノートを開いて見てみると、相合傘のマークがあり、Uさんの隣にはKくんの名前があった。Kくんは勉強も出き、足も速くて、キリっとした眉毛がカッコイイ学級委員もやるような、絵に描いたような優等生。僕は見事フラれたのである…。それでそのままにしておけば良かったものの、「見ちゃったよ〜」と昇降口掃除をしていたUさんにわざわざ言いに行った。フラれたショックか自棄を起こしてなのか、それは今でもよくわからない。
 それからは掃除どころではなく、UさんとFさんは女子トイレに閉じこもり泣き喚きながら「死ぬ〜」とか言っている。それを他の女子たちはドア越しからなだめ、残りの女子から僕は非難を散々受け、呆然としながら「どうしてこんなことしちゃったんだろ…」と只々思っていた。そうなると何故か黙っていないのが小学生男子で「小田っち(僕のあだ名)は悪くない!」とか言い出して、男子vs女子の対立になってしまう。全然関係ない女子やKくんまで泣き出して、僕はあとから事の重大さを感じた。でも「Kくん、おまえはいいじゃないか…好かれてるんだから」と思ったけれど。
 もちろん帰りの会で真っ先につるし上げられて、先生にもこっぴどく叱られた。それが原因で交換日記は僕のクラスでは禁止になった。しばらくの間女子から総スカンを喰らい、もちろんUさんには避けられた。それから僕は女の娘にはやさしくすることを少しだけ覚えた。

 僕の『眩暈の季節』と言う唄があるが、2番で歌っているのはこの時のこと。何となしにこの詞が出てきたのだけど、5年生のあの時のことが強烈に残っていたのだろう。あと1ヶ月もすれば、すぐ眩暈の季節。もう惚けたような夏は厭だな…。


臨月 エイジ |お便り気付かない細道へ向かえ旧ぐっどないみゅうじっく

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