酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2007年09月28日(金) 『メタボラ』 桐野夏生

 ココニイテハイケナイ・・・そんな強迫観念で逃げ惑う<僕>には記憶が無かった。偶然出逢ったやはり逃げている俺をジェイクと呼んでくれと言う男からギンジと命名される。妙な男ふたりの旅が始まった。一緒に女の家に転がり込むも、いつしか別れるふたり。そして再会した時に・・・

 いやはやこれはなんと言っていいのやら(お手上げ)。桐野さんの作品を読む時にはアル種の覚悟がいる。たぶんおそらく綺麗にまとめてはくれないから。なんやそれ!?的なエンディングに何度突き放され放心したことか。んで今回は覚悟を持って挑むも・・・あのあっけないラストにはヤッパリ参っちゃったなぁ。そらないぜー。なんと言うか逃げる男の今と過去をフラッシュバックさせて見せるロードムービーのようだった。ウマイはウマイ。限りなく力がある。でもやっぱりなんか呆けると言うか奪われた感が残る。悲しいんだよなぁ。

 僕は薄闇の中で、額の汗を拭った。僕の脳味噌がまたも蠢きだしたのだ。何と薄気味悪いことだろう。僕は自分自身を持て余して、溜息を吐いた。

『メタボラ』 2007.5.30. 桐野夏生 朝日新聞社



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