酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2004年07月05日(月) 『バッテリー』 あさのあつこ

 原田巧(たくみ)は、中学入学を目前にして、父親の仕事の都合で岡山県の地方都市新田市へ引っ越してきた。引っ越し先は母の実家。今では祖父がひとりで住んでいる。祖父はかつて名の知れた高校野球名物監督だった。そして孫の巧は、野球に関しては孤高の天才少年だった。天才であるがゆえに自分自身という個に徹底的に拘る身体と精神を持った巧は、周囲から浮いていた。しかし、新田市で運命の出会いをする。永倉豪。医者の息子の豪は中学入学を境に野球を諦めようとしていたが、巧に出会い運命が変わっていくのだった・・・

 友人から薦められて手に取った文庫2冊。それが岡山出身のあさのあつこさんの『バッテリー』でした。この友人とは読書のアンテナが、かなり近いため、まったく心配せず読み始めました。そしてノックアウト。あっと言う間に巧と豪と周囲の少年の世界に引きずり込まれてしまいました。あぁ、また素晴らしい出会いができました。友人に心から感謝v
 巧という13歳の天才少年の心の動きがものすごくよくわかります。「おとなはわかってくれない」と叫ぶ少年少女たちの想いを垣間見ることができます。かつて少年少女だった人たちに、今が少年少女である人たちに、全ての人に読んで欲しい物語です。きらきらしてる・・・。決して綺麗事だけじゃないリアル・ワールドがそこに展開しています。
 巧と豪、そして巧の弟・青波(せいは)。この3人の少年が軸となって物語がすすんでいくようです。巧と対照的な青波がすっごくかわいい。天使のような少年です。

 十三歳だから。どうだというんだ。十三歳だって、自分の人生を夢見れる。おれと出会って永倉が将来を決めたのなら、それでいいじゃないか。十三歳のおれに、その力があるんだ。まきこんだとかまきこまれたとか、そんなちっぽけなものじゃない。

『バッテリー』 2003.12.25. あさのあつこ 角川文庫




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