酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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| 2004年01月16日(金) |
『烈火の月』 野沢尚 |
我妻諒介42歳。贅肉はまったくない。ジムなどで鍛えなくとも日々、靴底をすり減らしできあがった肉体である。この男、「微笑んだ次の瞬間、凶暴になれる」と恐れられる愛高署の刑事である。千葉県湾岸(架空都市)愛高で、我妻と “女マトリ”烏丸瑛子が麻薬密輸業者と闘う。我妻は月。よどんだ欲望や悪意を受けて輝く月なのだった・・・。
作家さんにはカラーがあると思います。似合うか、似合わないか。でも時々、殻を破ろうと意外な物語を書いてみたりする。それが大当たりすることもあれば、往々にして大きく外れることが多い気がします。作家さんの路線やカラーと言うものは、読み手にとってとても大切なものだと思うのですが・・・。 この『烈火の月』は、ハードボイルドとして読むにはとても面白かったです。力量のある作家さんが書かれたのだから当然ですね。でも野沢尚さんの物語と意識して読むと、途端に色褪せてしまう。野沢尚さんに似合う物語とは思えなかったのです。こういうハードボイルドは大沢親分にお任せvと思ったのが素直な感想です。 ただ、野沢さんがこういう物語を書こうと決意した思いはよくわかりました。亡くなった深作監督に映画化していただきたかったのだそうです。だから、バイオレンス。
ヘロイン中毒者の治療に特効薬はない。凶暴性の厚い殻を破って、魂が自力で浮かぶあがってくるのを待つしかない。
『烈火の月』 2004.1.12. 野沢尚 小学館
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