酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2002年08月30日(金) 輪廻

 巨匠横溝正史先生の本を読んで(正しくは姉のまねをして読んで)中学時代に読書に開眼した私は、根っからのホラー好きv そんな私が日本のホラーを書かせたらおそらく最高峰に違いないと思っている作家さんが、高橋克彦さんです。記憶シリーズとドールズ・シリーズは最高傑作。是非ご一読をv(いずれここに書きたい。)

 2002年、年が明けてたまたま 「高橋克彦氏絶賛」 の文字を目にしました。その作品は 「輪廻」、 作者は明野照葉さん。松本清張賞受賞作品。高橋克彦さんが絶賛しているなら、絶対にはずれはないだろーとばかりに購入。読む。・・・読んだ。はずれなどないっ。うわぁー今年のノックアウト第一号〜。この物語、内容も素晴らしいのですが、装丁がまたすごく素敵。本屋さんで見るだけでも見てね。(そのまま買うと尚よろしいですわよ)

 明野さんにはまったところで、 「輪廻」 → 「憑流」 → 「棲家」 → 「赤道」 → ※「緋迷宮」(短編「恋歌」収録)→ ※「雨女」(オール新人賞短編) →「女神」 → 「闇の音」 → ※「それだけは言わないで」 (小説宝石8月号)と読みました。作品時系列ではありません。読めていない短編は今後の課題。雷音堂さんに頼もうかしら。
 
 今まで読ませていただいて、明野さんと言う作家さんはホラー作家ではないです。うまく言いあらわせないのですが、あの方は人間の心の闇や醜さや悲しさや悪あがき、そんな心模様を描かれている気がします。そして 「強い」 と言うか 「図太い」 んですね。主人公たちが。物語はいつもエンドページで終わらない。「エーッ、このあとどうなるのよぅー」 と悲鳴をあげさせられることばかり。短編はもったいないので長編にしていただきたい。ひりひりしたり苦しかったり怖かったりするくせに、読み終わって心のどこかに小さな光が残る。そんなふうに打ちのめされてしまわないのは、明野さんのお人柄ゆえなのでしょう。
いや、まぁとにかく読んで。読みなさい。読めばワカルからv

 さて 『輪廻』 はローマ字でRINKAIと読ませています。「りんね」 と読ませなかったのはなにかこだわりがおありだったのかしら。この物語は前世の因縁の物語と言えばよいでしょうか。どこまでも途切れることなく続いていく読後感があります。明野さんは、この作品で松本清張賞をお取りになられたとき、 『輪廻』 をホラーだと言われて、 「あ、ホラーだったのか」 と思われたそうです。上に少し書きましたが、明野さんはホラー作家ではありませんが、秀逸な日本のホラーを書ける作家さんだと感じます。ホラーを侮るなかれ。高度な日本のホラーは古典作品や、高橋克彦先生作品以外ではなかなか出てこないですよ。しかも品がある。これがすごいのよね。
 『赤道』 や 『女神』 などはホラーではありませんが、読んでいるうちにて主人公とに同調させてしまう表現力はお見事なのでございます。最後ハァハァ言いながら読んでましたよ、私は。

 さて、この明野さんの公式サイトにもお邪魔するようになりました。明野照葉さんって雑記帳や掲示板では「あけのてるはちゃわん」なる人物に変身されます。こちらのあけのさんの方が本物なのかな。話題が流れていくし、集まる人たちもとてもユニークな方ばかり。面白いですよ。明野さんの作品を読んで明野さんのページにも遊びに行きましょう。楽しいこと請け合いますわよんvちなみに今のところあっちゃん確保!ふっふっふv

 『輪廻 RINKAI』 2000.6.30.明野照葉 文藝春秋



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