ソレイユストーリー
▽▲▽▲▽ ソレイユストーリー ▽▲▽▲▽

2004年01月18日(日) 29話 『救出』

…………!

妙に張り詰めた空気を感じ取ったドーラ。

「退散だっ!」

本能的に危険を感じた2人は即座にバイクに跨ると、
車体を傾けその場でグルリとターンして、アクセルを全開にした。
前輪を持ち上げて走り出す鉄の馬。
だがそこへ発射された捕虫ネットが2台を絡めとってしまった。

ドゥドゥドゥドゥ…

虚しく鳴り響くエンジン音。
倒れこんだふたりは無様に這い起きると、
脛に巻いてあるナイフを掴んで振りかざし抵抗した。
だが多勢に無勢。
青い鎧に包まれた信者達によって取り押さえられてしまった。

「聖地を荒らす不届き者めがっ」

ツルハシで小突かれながら2人は担ぎ上げられて、
最寄の電波塔の太い柱に括り付けられた。

「リンチ(私刑)は本部に認められているんだからなぁ」

防塵マスクをはずした青いやつの1人がそう吐き捨てていった。
このまま夕暮れ時になれば、ヘビコウモリの餌食だ。
いっそ一思いに殺せばよいものを。
2人は顔を見合わせて思案した。

「…まだ諦めるな」

とドーラ。

「ガガスさんは怖くないんですか?」

サウムは泣き出しそうだった。

「怖いさ。だがこんな所で生きたまま食われるのはご免さ」

縛られた手首と足首を捩ってみるが固くてダメだ。
そろそろ日も暮れるという頃だった。
ドームの方でなにやら騒ぎが起きた。

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キレネーズと新入りの3人が、こぞって地下へ降りてみると、
そこには1体の黄色いロボットが居た。
このように自分は墓守をしていると言うので、
さっき上がってきた連中はなんだと訊いてみたら、
北の国からやってきた旅人だと言う。
そうか、じゃあ死んでもだれも気に掛けないだろう…と呟くと、
黄色いロボットは胸のLEDを激しく点滅させると、
ふいに4人を突き飛ばして地上へと駆け上っていった。
踊り場から踊り場へひとっ跳び。
開口部から飛び出すと、
作業を止めて今宿営地へ戻ろうとする信者をひとり捕まえて、

「旅人をどこへやった殺したのか?!」

胸ぐらをグイと絞める。

「さっさあな」

「答えないとこうだ」

黄色いロボットは空いている片腕をクズ山の方へ向けた。
次の瞬間、クズ山が丸ごと蒸発した。
巨大なスプーンで抉ったかのように凹んでいる。
そこから蒸気が立ち昇る。

「いっ言うよ。あいつらなら西の塔に縛られているよ。生きたまま」

手を離された巡礼者はドサリと地面に落ちた。

(いったいなんなんだアイツは)

ロボットは長く影をのばし始めた塔へと走っていく。
それを見た信者たちは咄嗟に小火器を発砲する。

パンパンパン!

早くて命中しない。いや命中していても効いていないのだ。
ロボットは疾走しながら後ろに180度腕を回転させると、
適当な所へ例のエネルギー砲を放った。
18人の青いやつが蒸発した。
それを見て腰が退けた仲間達は、一目散に逃げ惑う。
宿舎の後ろに隠れようとしているのもいる。

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「なんだか騒がしいなぁ」

ドーラは首を伸ばして遥か彼方の聖地を伺った。
何かが疾走してくるのが見える。
土埃を舞い上げて黄色い物がぐんぐん近づいてくる。
……彼だ。

「助けに来ました」

指先から出る光線で縄を焼き切りながら言う。

「どうして?」

とサウム。

「あなた方はこれからの世界に必要なニンゲンですから」







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