いやったーーーー♪三日で読み終わったぜ!! 「黒と茶の幻想」著・恩田陸。やはり恩田陸の完成は私と会うらしく、一気に読めますね。この話を一言で説明するなら、愛憎劇の結末をそれぞれ振り返る十数年後の三十代後半の男女の物語。(どーだかな) なんつーか、結局最後に思ったのは、結局蒔生が一番モテてたね、ッてことですか。私も蒔生は結構気に入ってました。あの人、なんていうか、破滅的思考ですよね。 あの性格は、自虐的傾向のあるサディストだと思うのです。妙な言い回しだと思われるかもしれないけど、なんていうか、サディストって人から恨まれる事に対して快感を覚えるようなところがあると思うのですよね。 自分だけを見ているという感じがするのではないでしょうか。愛情でなく憎しみで、決して自分を好きになったりしない。そう言うところに惹かれている感じがしました。 愛情に溺れる女は好きじゃなくて、ただ毅然と前を見ている強い女が好きなんですよね、あの人。そして自分主体に考えてるの。 ああいう人を好きになると苦労するけど、そう言う人ほど好きになるんですよね。 そして、この本を読んで更に思ったことは、結局人の気持ちなんて解からないよねって事でした。腹の中で何考えているのかなんてなかなか解からないものなんだな、と実感しました。 漫画とかアニメのキャラクターって、考えている事って見ている側には解かるじゃないですか。それを見て好き嫌いって言うのって間違ってないと思うし、その人の本質を知ったうえで好きだと言っているのだからどんなになっても好きなんだと思います。 逆にそんな人の気持ちまで解かる漫画の世界だから、何を考えているのか解からないキャラクターに惹かれたりもするのだと思います。私の場合大抵がそうだと思うし。 恩田さんは私の目標の一つだから、こういう風に人を飲み込める本を書きたいですね。すぅっと中に入っていける小説。シビアで現実的なところが感情を移入させる一つのものだと思います。私もそういう小説が書きたいです本当に。 私は今まで小説では特定の作者に執着するなんて事はなかったんですが、恩田さんの本だけはすごく好きです。どれにもはずれがないんですよね。 予想できない展開。読み進めていくうちに明らかになっていく謎。そして、最後の最後で期待を裏切られるような躍動感。どきどきしながらその作者の考えている事の裏を掻いてやりたい、読み取ってやりたいと思いながら、それが出来た事への喜び、それから出来なかった事に対する残念さ、そしてその残念さを味わう事が出来る小説を書ける人はとても素晴らしいのだと思います。 先が読めるものはある種つまらないものもあると思うのです。私は気に入ったキャラさえ居れば大抵読めますが、先が読めることがすごく苦痛になる事があります。恩田さんの作品は先が読めなくて、だからとてもこの先に何があるのだろう、期待を裏切られる感覚も全てその本の魅力だから。先が解からない事に対するときめきはとても素晴らしいものだと思います。 恩田さんの先が読めない小説はとても私を楽しませてくれます。高校に入って、恩田さんの小説に出会ってとても良かったと思います。人間のシビアな部分がすごく伝わってきて、現実感が溢れて、思い通りにいかないことがたくさんある、そんな現実的な部分と、非現実的な部分が織り交ざった作品がとても楽しいです。 すっごくお奨めの作家さんだと思います。 恩田さんは昨年の夏に放送されたドラマ「ネバーランド」の原作者で、ジャニーズファンなら知っているでしょうか。「出せない手紙」も恩田さんが作詞したと聞きました。「六番目の小夜子」とかも面白かったですよね。 すごくたくさんのジャンルを網羅していて、本当に際限がないほどとても広がりを見せた作品を読ませてくれます。そんなところがとても好きですね。 この小説を読む気なら覚悟が居るでしょうけど。かなり分厚い(笑)そして、これを読むのなら同時に「三月は深き紅の淵を」と「麦の海に沈む果実」も同時に読むことをお奨めします。微妙にリンクしたキャラクター、けれど全然違う世界観。色んなものが見れて楽しめます。 それでは〜〜
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