管理人の想いの付くままに
瑳絵



 音の無い音楽

ぼくには確かに聞こえたんだ
古びたビルから舞い落ちる音符の雨
駆け上った階段 辿り着いた屋上 開いた先に溢れるヒカリ 零れる歌声
それは奇跡
音の無い音楽 声の無い唄
でも ボクには聞こえたんだ

キミは一片の音も持たなかった

ボクには確かに聞こえたんだ
キミの唇から紡がれる美しい声
抱きしめた身体 奪い合った吐息
共に過ごす日々 広がる笑顔 零れた歌声
それは救い
音の無い音楽 声の無い唄
でも ボクには聞こえてたのに

音が欲しいとキミは言った
もう持ってるとボクは言った
キミの笑顔に隠れた哀しみに ボクは気づけなかった
いつだって 後悔は全て終わってから
キミはずっと音を欲していたのに

ボクには確かに聞こえたんだ
助けを求めるような 悲痛な叫び
駆け抜けた雑踏 辿り着いた部屋
開いた扉 倒れた身体 溢れる紅色
それは絶望
音の無い音楽 声の無い唄
もう ボクにも聞こえない

ボクの世界から音が消えた

ボクには確かに聞こえたんだ
見上げた空から降り注ぐ歌
温かいヒカリ 吹き抜けた風
包み込まれた中 聞こえた歌声 溢れた涙
それは希望
音の無い音楽 声の無い唄
また ボクには聞こえてる

冷たい石の下でキミは今でも唄ってる

音の無い音楽 声の無い唄
それはボク等の愛の証
音の無い音楽 声の無い唄
いつまでも響く優しい歌声
音の無い音楽 声の無い唄
ずっとボクに届いてる

2006年02月08日(水)
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