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ゆくすえ

八月の蛇 - 2006年09月20日(水)

八月の蛇は 私の足首に
のたうって 絡まって
解けない謎をかけている

八月の蛇が 私の首筋に
のたうって 接吻(くちづけ)て
動かぬものを 凝視する

あの人のひみつは
私の苦しみだ
糸のように吐き出し続けても
終わりを見ることはない

八月の蛇よ 銀(しろがね)の鱗を
脱ぎ捨てて 桃色に
まどろみゆく膚を曝せ

盛る夏の朝は 干し草の匂いと
死にかけた風の指が
まどろみゆく肌を濡らす

あの人のひみつは
私の苦しみだ
糸のように吐き出し続けても
終わりを見ることはない

(間奏)
あの人のひみつは
私の苦しみだ
泥は泥に 闇は闇の中に
ひそやかに屠ってしまえ

八月の蛇が 私の耳の奥
うずくまり 息をして
動かぬものを 護っている











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こしかた



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