| 2009年08月02日(日) |
「アマルフィ」(ネタバレ辛口) |
織田裕二さえ見られれば割と何でもいい早瀬ですので、結構楽しめはしたのですが、きっとあまり人が言わないであろうことを言いたい天邪鬼なので、ちょっと辛口で。
まず、カット割りが下手です。
全編イタリアロケをしたのに、旅行ガイドブックの写真のようにしか写せていない。「奥行き」が感じられないんです。 「ね? イタリアでしょ? 綺麗な風景でしょ?」と言わんばかりのシークエンス。 グローバルな感性とは程遠い。 例えば同じイタリアを舞台にした「ハンニバル」の画面のように、光と影の使い方に目が行かない。 また、ここはロングショットだろ、というところでアップだったりして、テレビドラマの作りから抜け出せていないし、余韻を残すところでぶつっと切れる。 テロリストの動機がなんだかんだで「私怨」なのも、どうでしょうか。 「罪のない49人の人々」のために立ち上がった、というだけでよかったんじゃないでしょうか。「奥さんが死んだ」ことが焦点になっていると、どうも、スケールの大きい話をいきなり個人レベルに引き下げてしまう「ローカル性」に違和感を覚えます。(というか標的が違うんじゃないかという気さえした) ラスト近く、事件解決のめでたさとリンクして新年を迎えたイタリアの恋人達の幸せそうな様子を延々と映すのですが、バルカニア共和国の人達はどんな新年を迎えているのでしょうか。 自爆テロは何故起きるのでしょうか。「生きるに値しない世界」にテロリスト達が生きている(彼らの主観では、ですけれど)からではないのでしょうか。 911を経てなお、こういう「痛み」を感じさせない映画を作ってしまう能天気さが「日本」のローカル性だと思います。 黒田が「邦人を助けるのが私の仕事です」とか言っていますが、テロを個人レベルに引き下げた全貌を見てしまった後では、あまり響かない。 犯人と同じ感性の次元じゃん、と思ってしまうので。 敵が巨大で、スケールが大きくて、とても「個人」では太刀打ちできないからこそ「邦人を守る」外交官の仕事が映えるんだと思いますけれど。(そもそも黒田は作中、外交官らしいことはあまりしていないのですが)
まあかなり手厳しいことを書きましたが、娯楽作品として楽しむ分には合格点かと。
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