雪の朝
新川 和江
冬になっても ずっと降らずにいた雪が 真夜中から降り出したらしく 枯れた芝生や庭木をまっ白にして なお降りつづいている
こんなにどっさりのものを 天はどんな袋の中に 溜めこんでいたのだろう じっと 怺えて 持ちつづけていた袋の口を ついに放してしまった・・・というふうに 雪はとめどもなく落ちてくる あとから あとから落ちてくる
怺えに怺えていたものならば 歓びではなく それは 悲しみであるのにちがいない 天のとつぜんの告白に 世界中が しいんとなりをひそめている
私の悲しみも どれくらい怺えて こころの口を握りしめていたら このように うつくしくなれるのだろう このように きよらかになれるのだろう
・・・・・と 思いながら ガラス戸越しに 庭を眺めて 立ちつくしている
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