ぬるり、とした桎梏(しっこく)を全速力で振り切ろうとペダルをグルグルと
どろん、とした漆黒(しっこく)に横溢な田んぼの臭気でペダルをモヤモヤと
深夜に通り過ぎれば、真昼よりも濃密な夏の臭気がモヤモヤと
思わず、いや、呼吸をするかのように、嘔吐が押し寄せてきた
吐瀉物のない嘔吐が突然やってきた
嘔吐するという能力が爽快感すらもたらしてくれる
生体を保護するために与えられた能力
個人の精神によって、あるいは崇高に言えば喜怒哀楽を基にした人格によって嘔吐する人々もいる
けれども、それは決して、あなた、ではないのだ
あなた、が全て決定したのではないのだ
生体を保護するために与えられた能力に過ぎない
あなたの、個人の精神によって、あるいは崇高に言えば喜怒哀楽を基にした人格によって、と思い込むのは、鼻せんをしているだけなのだ
人間社会が能力によって評価し動いていることを早く気がついて欲しい
個人の精神や喜怒哀楽は、コミュニケーション能力、交渉能力、対人能力に置き換えられるのだから
吐瀉物など必要ないのだ
嘔吐の能力、そしてその爽快感すら与えられていて、だから、桎梏を吐き出せばいい
この漆黒に、溶け込むようにペダルを思いっきりこいでいけばいい