感想メモ

2005年11月03日(木) 火垂るの墓 (ドラマ)

 ドラマ・コンプレックスの第1弾作品。あの有名なジブリのアニメ『火垂るの墓』の憎たらしい(?)おばさんを主人公にしたという話題のドラマを見た。

 一番泣けたのは、やっぱり最初のシーンかも。どうしてもアニメ版が頭にあるので、最初の死んだ場面もよく覚えており、あのあとちょっとの差でおばさんたちが探しに来ていたのか・・・と感動がこみ上げた。

 しかし、話はあのアニメとは違う。もしかしたら原作に忠実なのかもしれないが、あいにく原作を読んだことがないのでわからない。エピソードなども若干違うのでこれはアニメと別物と考えた方がよいだろう。

 松嶋菜々子が鬼おばを演じているわけだが、やはりこの人の考えること、わからない。演技もよくわからなかった。時代に流されて・・・ということはわからなくはない。でも、やはり納得がいかないことが多かった。また一緒に暮らしていた要潤が演じていた足の悪い義弟も、自分の分を少し分けてやるとか考えられなかったのか・・・と思った。

 いつも思うのは、この兄のまっすぐすぎるところか。海軍大佐の息子として、日本は勝つし、国のために軍人は戦うと信じ込まされ、自分も海軍に入ると思っていたであろう清太は、プライドも高く、おばさんとうまく折り合っていこうというところが足りない。父に「父が出征すればお前が大黒柱だ。母と妹を守れ」と言われる清太。それに対して「自分の命に代えても守ります」と言い切った清太。しかし、母は空襲で死亡し、妹と二人残される。

 おばの家に行くことになったときに、本当に妹を守るつもりならば、おばに頭を下げてでも生き延びることを考えねばならなかっただろう。しかし、プライドや妹につらい思いをさせてはということを重視し、おばの忠告を無視、隣組の活動などにも参加しないため、配給も自分の分が出なくなっている。やっかいものでプライドが高い清太におばの怒りがこみ上げていき、おばの夫が戦死したときにそれが爆発!

 お互いに折れればいいのに、結局そういうことができない二人。周りの人もどうにかしてあげれば、悲劇は避けられたはずなのに、親戚がいながら、何もできなかったのは、どうしてだったのか。

 時代や戦争のせいと言えばそれまでなんだけれど、世の中の処世術みたいなものも考えさせられると思った。

 ただやはり松嶋菜々子のおばさんはどうも理解できなかった。やはりこの考え方はよくわからない。もっと悪い奴なら理解もできる。けれど、そうでもない。そうでもない人がこうなることに恐ろしさを・・・というわりには、そこまで悲壮感や切迫感が漂っているわけでもなくて、ただのいじめみたいな感じにしか見えなかった。何となく自分が嫌いだからご飯をあげないって感じかな。

 何とも言えないのだけれど、見終わったあとで、感動とかはなかった。むなしさというか、やるせない感じだけが残ったような。演出の仕方とか、このおばさんを主人公にしたところに、ちょっと無理があったのかなとも思った。

★原作本は『火垂るの墓』


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ゆうまま [MAIL]