楓蔦黄屋
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2023年03月11日(土) なんやかんやでやってけそうな

台所に洗い物がたまってきている。
でも平気。
台所に立つのが苦じゃなくなったからね。

以前だったら、台所に洗い物がたまるのは本当に億劫だった。
洗い物と一緒にプレッシャーまで溜まっていく感じだったからだ。
罪悪感とか、それでも片付けられない哀しみとか、そういうものも全部。
点描で囲われた黒ベタの丸い魔物。目の部分だけ白い丸の。足がいっぱいついてる感じの。
ああいうのが洗い物とともに台所に巣くってる感じだった。

でもそういう魔物が見えなくなった。
台所を自分仕様にカスタマイズすることによって、
洗い物がたまったときの対処法が一本道として予測できるようになったからだ。

炊事は本当に大仕事だ。

誰かの家に嫁いで代々の台所を受け継ぐとか、
はたまた仕事として台所を管理しているとか、
そういう状況だったらもっとその大仕事さを肌で覚えられると思うんだが、
私はただただ実家にいるときは家事をやっている母の後ろで一緒に喋っていた思い出しかないから
ここに来るまでずいぶん時間がかかった。

母も、家事に関しては
「どうせやることになるんだから、わざわざ今教えなくていい」というスタンスだったので
特別に教わることもなく来てしまったのだ。
いや教わらなくても見てたからできるし、実際技術という面では別に困ったことはないんだが、
台所仕事はなんというか、「洗う」「料理する」「片付ける」という行為の、その間をいかに埋めて
一連の作業をスムーズに回していくか、ということに難しさがあるんじゃないかと思う。

台所はなんというか
「料理しながら洗い物をちょっとする」とか、
「ふきんを洗う」とか、「生ゴミを処理する」とか、「調味料入れを洗って追加する」とか、
なんというかそういうちょっとした、ルーチンじゃないこまかい作業のほうが多いから、
そういうのを流れにのせていく土台、みたいなものが重要なんじゃないかと。

その土台ですらときに更新が必要なんだから、台所仕事ってのはやっぱりすごいな。

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「こないだまで頭を悩ませていた子どもの問題がいちおう解決を見た(もう悩まなくていい)」
ということをふと思い出すときの心の底からの開放感。

問題ったってたいしたことではない。
100円ローソンで1000円のものを子どもがほしがったというだけの話。
しかし実はそういうところにこそ今までのおたがいの信頼関係の再確認と、これからの方向性を決める重要なターニングポイントがある。
子育てには、他人さまに笑い飛ばされそうなことにさてどうやって向き合うか、ということの連続みたいなとこがあると思う。
目の前の問題しか見えなくなっちゃもちろんまずいが、
たとえ外から見てたいしたことがないといったって、今まで自分と相手とでちゃんと積み重ねてきたものを軽視しすぎるのもいかんだろうという狭間で
ときには眠れないほど悩む。

子どもと話し合う。ケンカにもなる。
子どもが譲らない気持ちはすごくわかる。
私がなぜ譲れないのかも子どもはちゃんとわかっている。
さらにそれで考えに考えて、なかばヤケクソで現状を打破する解決策を用意してみるも、
それがうまくいくかどうか不安で、旦那に相談し、
しかしお互い仕事で疲れてて体調も悪いからヘロヘロ。
未来に展望が見えない。
やっぱり眠れない。

眠れないうえに、ここ数年症状がまったく現れることがなかった「生理時の腹痛」まで現れてしまった。
痛いしもう夜中の3時だし眠れないしで涙まで出てくる。
これはかなりいかん。いかんぞお!

ということでとりあえず、別室で寝る子どもの顔を見に行こう!と思って見に行った。
一人で頭の中だけで考えてるから負の感情ばっかりが大きくなる。
子どものことなんだから子どもの顔見て考えよう。
もういっそのこと原点に立ち返って、まず君がこの世に存在するっていう幸せをまず噛みしめにいこう!と。

子どものベッドに横たわりながら寝顔を見る。
心がだいぶラクになる。腹痛もおさまる。
そのままいっしょに寝る。子どもがのっかってきて重い。
眠りが浅く何度か起きるが眠れないことはない。
朝方目が醒めて自分のベッドに戻る。

それで子どもが帰ってきたときに、用意しておいた解決策を
旦那と一緒に子どもに説明。
子ども納得。
あとちょっとした誤解も同時に解ける。

解決。

あれから2日。今ここ。
あーあれ解決したなあ、とふと思い出す。

その開放感と安堵感で、
「まあ、これからもたぶん大丈夫だろう」というちょっとした経験値を実感する。

もっと大きな問題とか、ちょっとシャレにならんやつとか、そういうのでも、
まあいけるんじゃないかな、という気分になってくる。
そういう幸せみたいなのを噛みしめる。

そういう土曜日の午後。


楓蔦きなり

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