この本は一言で言って切ない本です。 自費出版からベストセラーになった中園直樹さんの
 オルゴールの文庫版がこないだ出たので,手に取ったわけですが・・・
正直読まなきゃ良かったとも思いました。読んだ直後は。 そのくらい切ない。 でも今は読んでよかったと思っています。
テーマは青少年のいじめや自殺。 重いテーマですが,主人公「ぼく」と克己の心情を丁寧に書いていて, 重いんだけど,読後感のいい小説でした。
自費出版からベストセラーになったと書きましたが,初版千部, かつ,出版費は作者と出版社の折半という出版形態。 中園さん自身は売れるとはまったく思っていなかったようです。 あとがきに 「私は,この本が売れることより,図書館に置かれること,中高生の 読書感想文の指定図書に選ばれること,教科書に載ることを望みます。」 と書いてありました。自分も自殺未遂者だったことも・・・
そういう経験があるからこそ,書ける小説だなぁと思いました。 ただ,押しつけがましく「いじめはダメだ」「自殺はいけない」 ということを訴えるのではなく,心の葛藤を丁寧に描いてるところが 受け入れられたのだと思います。
私自身とうに中高生ではないのですが,自分のその次代のことを 思い出しながら読みました。そして切なくなりました。 そして,苦しいときに助けてくれる誰か(友人)がいることの幸せを 感じました。
戯言No.438<了> BGM:With or Without You By.U2(The Best Of 1980-1990)
 久しぶりに聴いたんだけど,ボーノの声はかっこいいなぁ。
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