悪戯なリフレイナー - 2009年07月25日(土) シャツにたっぷりと染み込んだ脇の汗を見た時が、最初だった。 その人が着ていたのは、単純なチェックのシャツ。 色はよく覚えてない。緑だったかな。 1時間と30分あまり話して、最後の方でふと腕をあげたのだ。 あっ、って思った。 気持ち悪いとか汗くさそうとか、私が感じたのはそういう類のもんじゃない。 簡単にいうとトキメキ。 トキメキの前兆のようなものを感じたのだ。 次はイタリアンのカフェレストランで、バカと言われたときだ。 私はどうしようもない子だからずっとお説教されてて、その人と資料を見ながらここはこうで・・・と話していた最中。 何気ないぼけをしたときに、バカと一言いわれた。 もちろんそれは軽いジョークのかけ合いのようなもので、だからその人はしょうがないなぁという表情ではにかんで笑ってそう言った。 私もそれを了解していたからお互い笑い合った。 でもバカという相手を一般に罵る言葉を言われたとき、そういうジョークを言ってもらえる位には親密になった気がして、私はうれしかったのである。 はにかんだような笑顔も始めてみたし、一緒にお酒を飲んだのも、始めただった。 バカ。 その二文字はあったかい色をして、私に与えられた。 そしてもっとそう言って欲しいと、私はマゾヒストのように思って願った。 極めつけは、この間パーティで会ったときだ。 私はどうしようもない子だから、その前に会ったときは本当に怒られてて、ちょっと会うのが怖いなと思っていたところがあった。 だけど優しく微笑んで、私のことを優しそうに見つめるから、そのしこりもすぐに取れたのである。 お互いお酒を飲んで少し酔っぱらっていて、体が火照っていた。 会場全体がなんだかそういう空気で、私は真面目なパーティが熱っぽいクラブにも思えてくるような、そんな場所にふたりでいた。 隅っこで一緒になって、他のひとは誰も知らない話をひそひそとする。 そうして本当は他愛もない話を少ししてから、その人はよくやってきたねと一言いった。 二度は言ってくれなくて、私はちょっと信じられなくて確認したけど、やっぱり言ってはくれなかった。 酔っぱらっていて頭がぽうとしていたけれど、その言葉は私はずっと欲しかったもので、思わず泣きそうになるのを、冗談でごまかした。 そうでもしないと私たちは何か間違えそうになる気がしたから。 どうしようもなく嬉しく、そのときの喜びはたぶん今年初めてのものだった。 去年だってあったか分からない。 でもその言葉を言われたとき、胸の中に確かに灯るものが存在したのを感じた。 その存在は今もまだ残っていて、私はあの瞬間のことを何度もリフレインする。 例えばあのあとそっと手を握ったらどうなっていたのだろう。 例えばあのとき熱っぽく見つめていたらどうなっていたのだろう。 何度も何度も思い返しては、キスして抱きしめられるようなことを思い描く。 それは絶対にしてはいけないテリトリー。 でも私はいつも思うんだ。 もっと人間と人間がオープンに、触れたいと思ったときに触れられる世界だったらいいのにって。 私がその人に感じているのは、恋みたいなもんだろうけど、でもセックスしたいとは思わない。 でも大切なひととハグをしたりキスをして慰めたりするのが異常だとも思わない。 動物だってお互いをなめあったりするじゃないか。 そういうことを私は求めているんだと思う。 お互いの存在を求め合う、その確認をハグとかキスとかでする。 ただこれだけのことなのに法律も秩序もそれをイエスだとは言わないし、大半の男はイコール、セックスだと考える。 もっと簡単なものだよ。 例えばね、おじいちゃんの膝に孫がのっかって、昔話を聞くとかさ。 やっぱりダメかな、そういうことは。 ね、先生。 ...
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