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普通の日記

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2003年11月12日(水)
長電話

52.01
電話を切る瞬間に表示されてた通話時間がそれ。
私からかけたわけじゃないけどちょっと深刻な電話だったんだもん。
10時に我が家の電話が鳴ってたまたま自室の子機を私が取ったんだけど電話の向こうは大学の先輩。
声を聞いただけでK先輩って分かったけど何だか様子がちょっと変。
「オレの人生おしまいだよぉ」
先輩って言っても私が現役時代にすでにOBだったから一回り以上離れてるんだけど
女子リーダーと女子コーチって関係で関わりも深かったし。
私の披露宴にも来て貰ったしその後も会うことはなかったけど年賀状とか時折の電話とか。
私の引越しをお知らせしようと大学事務局に就職した後輩に連絡した時に
K先輩が入院してるって聞いてお見舞いの電話を入れてたし。
で、久しぶりに貰った電話が人生の終わり発言から。
K先輩も一生懸命話してるんだけど言葉には覇気が感じられない。
「誰かと話したくて電話しちゃったんだ」「オレ鬱病なんだよ」
私が知ってるK先輩ってのは100kgを越えそうな巨漢で豪放磊落なイメージ。
学生時代にお姉さんが膝をついてお酌してくれるような銀座のお店に連れて行ってくれたのも先輩だし。
入院してるって聞いてたけど太りすぎから糖尿病を患ってるとばかり思ってたから病名に驚き。
「暗くなると不安が募る」って心中を吐露する先輩からの電話を切ることはできない。
でも聞けばかなりな状態みたい。
鬱って発覚する前に拒食症みたいになっちゃって一時は66kgまで体重が落ちちゃったこと。
気力がなくて100m歩くのも容易じゃなくて医者に行って鬱って分かったこと。
極めつけは3本の包丁でリストカットをして大騒動になったこと等を淡々と話してくれたんだもん。
若い頃の行動が災いして家族には見放されてるってことも。
救急車を呼んだのも自分だしお医者さんから病状説明って言われた時も奥さんは来てくれなかったって。
家族の愛情がないと鬱病とは戦えないんだよね。
とにかく人恋しくて仕方なく私に電話をしてきたらしい。
「救急車を自分で呼んだってことは死にたくなかったんでしょ」
リストカットじゃ死ねないから次は・・・とかってどんどん悪い方向に考えてるみたいだし。
家族に見捨てられてるらしきK先輩の生への執着を引き出そうと必死。
「最近嬉しかったことは?」「孫が産まれたことかな」
可愛い盛りのお孫さんのこととかニューヨークにいる次女ちゃんのこととか
とにかく明るい話題にして少しでもK先輩を盛り立てようとしたりして。
大病院に通ってるんだけど「今の先生と相性が悪い」ってこぼすから「曜日を変えてもっと外出するようにしたら」
外出さえ億劫で週に1度の通院時には診療科目のはしごらしいから。
とにかく夜が来るのが怖いらしい。
K先輩の手首には18針の傷痕が残ってるみたいだし。
今年はそんなこんなで半年も入院してるんだって。
「病気になって分かったんだけどオレって友達いなかったんだよ」
「弁護士に会社のことも任せてある」
それにしても本当か嘘か退院時の支払いさえK先輩本人だって言うんだからいくらなんでも奥様って冷酷。
K先輩が次々打ち明けてくれるから「私ってカウンセラーになれるかしら?」
とりあえず今夜は落ち着いたみたいで睡眠薬を飲んで寝るって言ってたけど。
鬱って現代病って言われてるけどこんなに落ち込んじゃうんだなーって思っちゃった。
で、気がつくと「大丈夫だよ」って言葉は使ってたけど「頑張って」とは一言も発してなかった私。
それにしてもK先輩の悩みの深さって半端じゃないんだろうなぁ。
「来年の創部○周年で会えるといいねっ」って励ましが心に届いたかは謎だけど
少しでも元気になってくれるといいな。