宿題

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2007年03月02日(金) 原田治ノート(2007年11月30日)
考えたら民芸品を日常的に使ってきたのは、
ぼくのオフクロが戦後の民芸ブームにのって、
一時期は家財道具一式を民芸ひと色にしたのが始まり。
「衣食住」の衣や住(家具調度のみ)は
やがて飽きたのか我が家から消えたけれど、
食習慣と密着していた民芸食器類は
そのまぼくの食卓に一部継承してしまった。
今でも豚カツやコロッケ、ボルシチやピラフ、
サンドイッチのような洋食に一番よく使うのが、
写真の島根県民芸窯「湯町焼」の皿類。
以前も書きましたが (id:osamuharada:20050421)
(id:osamuharada:20050625) 好きな食物と湯町の黄色の釉薬がピッタリすると、
食欲も倍増すること請け合います。というただそれだけのコト。 

長じて食生活の幅がやや広がると、
和食では刺身に銀座東哉の大皿がいいだの、
煎茶には百年くらい前の京都の染付けに限るだの、
ささやかな贅沢を楽しむようになる。
洋食器もまた料理のレパートリーがちょっとだけ増えると、
西欧の民芸焼き物などで合うものを探して使用する。
(id:osamuharada:20050615) というようなヒマな年寄りの日常話でした。 

ところが最近になって、仲良しの元オリーブ少女から聞いた話では、
ロハスやスローライフ、エコという片仮名や、
「暮らし」という言葉に代表される昨今の流行ブームの中に、
何故かこの「民芸」も入っちゃってるそうだ。 
嫌だねェ、なんでも軽薄な流行にしちゃって、
どうせすぐにまた忘れるんだろうけど。 
このブームで浜田ショージや河井カンジロー、
芹沢ケースケなんかが昔のように、
さらにまたブランド化しているらしい。 
そもそも民芸運動(運動という言葉がヘンだね)は、
白樺派(明治ブルジョア子弟)あたりの面々が、
古来から庶民(差別用語だろ)が日常使用していた雑器類を、
美術的芸術的見地から取り上げて、
高みから見直してやろうか運動だったよね。 
その運動?が下々一般にも流布するようになると、
本来無名性の生活雑器だったはずのものが、
やがて民芸作家と自称する名人上手?が現れて、
高価な作家モノへと転じ、もはや雑器の日常性などは失われてしまった。
デタラメなテレビ番組「何でも鑑定団」などでもお馴染みの民芸作家、
益子焼の浜田ショージや紅型染め芹沢ケースケなんかは
高級ブランド化してるもんね。
高額過ぎて日常的になんかもう怖くて誰も使えないよ。
人に自慢する以外は、盗まれないように隠しとかなくちゃアな、
疲れそうだね。

この奇妙なる流行!エコにロハスや「暮らし」にしても、
ただ単なるお洒落としての流行なんですから、
とくだんの元オリーブ少女が説明してくれた。
昭和レトロという貧乏ゴッコも混じっているらしい。
総じて『ホッコリ系』などと呼んでるそうだ。
ぼくが執筆お断りしたあるアナクロ「暮らし」雑誌では、
自分の子供にキッズ携帯を持たせるにはどこのメーカーが最良か
実験なるものをやっていた。
子供が万一行方不明の時には便利だそうだ。イギリスや北欧では、
携帯の電磁波が幼児の脳へは悪影響する疑念があるから、
自分の子供には絶対にケータイを持たせない親もあるというのにね。
日本じゃ呆れた暮らしぶりが流行ってるんだね。 

彼らホッコリ系仲間内だけの流行語大賞もあるそうで、
「ホクホク」するだの「サクサク」、
「イソイソ」とや「ヌクヌク」ってのもあるそうだ。
全部オノマトペなんだね。何と男までも使うらしい。  
同じエコですと言いながら、原発の使用済核燃料
(最も危険なプルトニウムのことだろうが)の再利用
(危なくて実現不可能)までを、
みんなの大好きな「エコロジー」ですよという企業広告にして、
このエコ流行に便乗して混じってる由。
これじゃ原発側がホクホクしてるね。
やっぱり救いがたき愚かなブームだぜ! 
すぐに飽きちゃっていいんだから、
仲間内でのヌクヌクやなんかは気味悪いことだし、
このブーム、サクサクと片付けといてくださいな。


★原田治ノート★

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