宿題

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2006年08月10日(木) 哲学と癒し/中島義道×宮台真司
宮台
僕が一人の読者だとすると、中島さんは僕の感じていることを
言葉にしてくださっていると思いながら、
言葉にする力があるがゆえに、
やはり成功して社会的な存在に上昇した、
自分からは遠いお方に見えるところもあると思うんです。

中島
それは宮台さんも同じだね。

宮台
そうかもしれない。

中島 
『美しき少年の理由なき自殺』は全部読んだ。

宮台
うわっ、ありがとうございます。

中島
あの本を読んでしばらく経ってから、
僕のやっている無用塾に自殺予備軍のような人たちが
たくさんくるようになった。
じつは一昨日でちょうど百回なんですが、
まさにすべてが癒しを求めてくるわけ。
自分と他者の区別が分らなくなっている人や
「先生が自殺したら、僕も後追いします」ってずっと泣いたり。
宮台さんの本を読んで死ぬ人が出たりしたら、
これは本当に困るでしょう。

宮台
きついですよ、それは。

中島
精神科に入院した人が四人いる。
つまり、僕のところへ来て、もっと重くなっちゃう人がいるんです。

宮台
たしかにいるでしょうね(笑)。

中島
わかるでしょう、それは。
でも僕はいいんですよ、ヒーリングしなくても。
前に来た女性で拒食症の人がいた。
連絡がプツリと来なくなったら入院した。
僕はそういう状態の中で、無用塾を続けています。
宮台さんのところへ来る人は、「終わりなき日常を生きる」
しかないからきついけど…。
宮台さんはそのことを書けるからいいわけです。
そこでしょう、つまり違いは…。

宮台
よく言われるよね。

中島
僕と同じなんですよ。


★哲学と癒し/中島義道×宮台真司★

マリ |MAIL






















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