宿題

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2006年07月13日(木) イッツ・オンリー・ア・トークショー/野坂昭如×中島らも
野坂
いま七十二歳でしょ。
僕もあとせいぜい四、五年だから、
どうでもいいんですよ。

らも
野坂先生は、アホだから、まだ二十年は生きる。

野坂
けど、二十年のうち十八年くらいはボケてるだろうね。
みなさん知らないだろうけど、来年の臨時国会で
「老人保護法」というのができるんですよ。
少年保護法と同じでね。
だから、僕が例えば痴漢をやっても「老人N」。
七十五歳を過ぎると、特典が随分あるんですよ。
大抵のところはタダなんですね。
グリーン車は半額、飛行機は八割引ですよ。
それでもって、痴漢やってもつかまらない。
八十五歳過ぎると、レイプをやっても大丈夫。
で、百歳過ぎてレイプをやると紫綬褒章。

アトム
厚く保護されるわけですね(笑)。

野坂
だってレイプやるには相当体力いるんだから。
ただし、バイアグラを飲んで、
レイプをした場合はその限りじゃないんです。
薬物依存ということで。
素できちんとやらなきゃダメ。

らも
ふんっジジイ!

野坂
「ジジイ、ジジイ」ってさっきから言ってるけど、
逆にうらやましがってるんじゃないの。
僕が老人であることは十分認めます。
若いなんて思ってない。

らも
思ってたらガイキチだよ。

野坂
それって、象に向かって「おまえの鼻は長すぎる」っていうのと同じよ。
年寄りに向かって「おまえは老人だ」ったって意味ないじゃない。
それより、老年法の話だけど、
僕はまだ七十五歳じゃないから、
なんの恩恵にも浴さないわけ。
だから、それまでは生きてなくちゃいけないんです。
七十五歳になると、ほんとに何をやっても構わない。
八十歳過ぎると、もうほんとにオールマイティ。
エースみたいなもんですね。

らも
人を殺してもいいの?

野坂
もちろん構わないですよ。
八十五歳に殺されるようなヤツは殺される方が悪い。
僕のような年齢になってくると、エレベーターで若い人と
二人きりになるだけで怖いもんなんですよ。
もうカタまっちゃって、適当な階のボタンを押してすぐ降りるから。

らも
キックボクシングを習ったんだろう?

野坂
エレベーターみたいに狭いとこだと、
僕の華麗なキックは役に立たない。
ハイキックというのは一番バカなキックですね。
ハイキックで相手をやっつけようと思ったら、
相手がよほどへろへろになってないとよけられちゃう。
だから、沢村忠さんの全盛時代のビデオでも
スローにして見ると、微妙なところで当たってないんですよ。
でなかったら、あんなにひどいスポーツを毎日やれるはずはありません。

らも
力道山のチョップは強かったですねえ。

野坂
僕は、力道山とはやったことないんで、
強かったかどうかわからない。


★イッツ・オンリー・ア・トークショー/野坂昭如×中島らも★

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