宿題

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2006年07月11日(火) イッツ・オンリー・ア・トークショー/野坂昭如×中島らも
らも
野坂先生はその昔、
「自分の家族や愛する人を守れないようでは男はダメだ」
とか言って、キックボクシングのジムに
通ってたことあるんでしょ。

野坂
別に僕は女房や子供を守ろうと思ったんじゃないよ。
自分を守ろうと思っただけ。
ものは言いようでさ。
憲法だって、法律だってみんな、ものは言いよう…
あるいは考えようでしょ。
だから、そんなこと言っただけの話で、
ただひたすら怖かったんです。
僕はらもみたいに一流の高校に入ったような
人間じゃないんですよ。
二流三流のところしか通ってこなかった。
なおかつ、体は弱いし目は悪いしね。
どうしようもない。
だもんで、あるとき、
ふとキックボクシングをやろうと思いたった。
目黒の権之助坂で沢村忠さんってのが
ジムをやってたんですね。
オーナーは野口恭さんですが。

らも
沢村忠っていえば、キックの鬼じゃないですか。

野坂
そう。
僕はキックの鬼に直接習ってたんですよ。
ぽんぽこぽんぽこ僕が沢村さんを蹴るでしょ。
ところが沢村さんの方はなんでもない。
蹴ってる僕の足の方が腫れてダウン。
キックはもっと若いうちに始めなきゃとてもダメですよ。

アトム
ジム通いはどのくらい続けてはったんですか?

野坂
二年半。
だから、試合の前座に、ちょちょっとやらせてもらえるくらいの、
セミ・ライセンスは持ってたんですね。
でも、キックよりも歌の方に才能があると気づいて、
僕はプロの歌手になった。
ライセンスはいらないし。
だから、いざとなったら歌をうたっちゃう。
臆病な人に言っときますけど、
例えば誰かに襲われるとするでしょ。
何が一番いいっていったらね、
ア、こりゃこりゃって歌を唄う。
さらにズボンも全部脱ぐこと。
脱いで、大の字になってひっくり返るんですよ。
そうすると、相手は気勢をそがれるでしょ。
「なんやこいつ、アホか」って。

らも
敗北主義じゃないか!!

野坂
まぁそれはあなたの考え方であって僕はそれを
敗北と思いませんね。
自分を守るためにやってるだけ。

らも
脱走者!

野坂
逃げるのが一番なんですよ。


★イッツ・オンリー・ア・トークショー/野坂昭如×中島らも★

マリ |MAIL






















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