宿題

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2006年06月17日(土) 誠実な詐欺師/トーベ・ヤンソン
お金は臭うと人はいう。
それは嘘だ。お金は数字と同じようにきれいだ。
臭うのは人間のほうで、だれもがそれぞれ隠された臭いをもっている。
いやな臭い。
怒ったり、恥じたり、怖がったりするとき、臭いは強くなる。
犬はそれを感じとる。瞬間的にわかるのだ。
わたしが犬だったら、わかりすぎていやになるだろう。
でもマッツには臭いがない。あの子は雪のようにきれいだ。
わたしの犬は大きくて美しく、わたしに服従する。
あの犬は私が好きじゃない。でも、わたしと犬はお互いを尊重する。
わたしは秘密めいた犬の生活、本来の野生をいくらかはとどめている
大きな犬の秘密を尊重する。
だからといって信頼はしない。
自分をじっと観察する大きな犬をどうして信頼できよう。
人びとは<人間みたいな>特質を犬に押しつける。
気高さとか愛想のよさとかいったものを。
犬は口をきかず、人間にしたがう。
でも、わたしたち人間をじっくりと観察して知りつくし、
わたしたちのみじめさを嗅ぎつけてしまった。
それなのにあいかわらず人間につきしたがう。
この信じがたい事実をまのあたりにして、驚き、感じいり、
うちのめされるべきなのだ。


★誠実な詐欺師/トーベ・ヤンソン★

マリ |MAIL






















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