宿題

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2006年01月12日(木) 共感するということ/川本喜八郎×ユーリー・ノルシュテイン
川本 モスクワのスタジオに行ったら、どなたかが「我々の中に、
とても不思議な人がいましてね。夜にならないと仕事をしないのです」と言う。
それでユーリー・ノルシュテインの名前を知ったのです(笑)。
またしばらくして、一九八五年でしたか、ブルガリアで審査員を頼まれた。
同じ審査員にユーリー・ノルシュテインの名前があって、もう、これは行かなきゃと。

ユーリー その帰りに私のスタジオに寄られたんですね。

川本 ええ、ユーラさんのスタジオで、すでに三年間も撮り続けている「外套」
を見せてもらったんです。もう僕はびっくり、こんなすごい作品は見たことがない、
と思いました。それが二十年前ですよ。まだ完成していない。

ユーリー 覚えていらっしゃいますか?スタジオをご覧になった時、
「おかしくなられませんか?」と尋ねられましたね。
「毎日、おかしくなっています」そう答えました(笑)。
あのとき撮っていただいた写真が、今もスタジオに飾ってあります。

川本 見わたすかぎり、アニメーションの小さな材料が並んでいる。
それをピンセットで持ってきて、置いて、それでまた戻して、また別のところへ持って行く。
アニメーションで人形を動かすのもたいへんですが、ユーラさんのやっていることは、
「諦めない」の最高の形のような気がしましたよ。

ユーリー そのピンセットは、いまだに私のコンピューターです(笑)。


★共感するということ/川本喜八郎×ユーリー・ノルシュテイン★

マリ |MAIL






















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