宿題

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2005年09月22日(木) 太陽の塔/森美登美彦
私は色々なことを思い出す。
彼女は太陽の塔を見上げている。鴨川の河原を歩きながら、「ペアルックは厳禁しましょう。
もし私がペアルックをしたがったら、殴り倒してでも止めて下さい」と言う。
琵琶湖疏水記念館を訪れ、ごうごうと音を立てて流れる疏水を嬉々として眺めている。
私の誕生日に「人間臨終図巻」をくれる。駅のホームで歩行ロボットの真似をして、
ふわふわ不思議なステップを踏む。猫舌なので熱い味噌汁に氷を落とす。
ドラ焼きを二十個焼いて呆然とする。私が永遠にたどり着けない源氏物語「宇治十帖」を愛読する。
コーンスープに御飯をじゃぼんと漬けて食べるのが好きと言う。
大好きなマンガの物語を克明に語る。録画した漫才を一緒に見ましょうと言う。
何かを言った後に、自分はひどいことを言ってしまったと悲しむ。
下鴨神社の納涼古本市に夢中になる。雀の丸焼きを食べて「これで私も雀を食べた女ですね」と言う。
よく体調を崩して寝込む。私が差し入れた鰻の肝で蕁麻疹を出し、
かえって健康を害する。招き猫と私をぴしゃりと冷たくやっつける。
初雪を前髪に積もらせる。
「私のどこが好きなんです」と言って私を怒らせる。
憂鬱になって途方に暮れる私を前にして、同じように途方に暮れる。
私が投げつける苛立たしい言葉を我慢する。
夕闇に包まれた鴨川の岸辺を歩く、夜の下鴨神社を歩く、明るい万博公園を歩く。
きらきらと瞳を輝かせて、何かを面白そうに見つめている。
何かを隠すようにふくふくと笑う。彼女は黙る。彼女は怒る。彼女は泣く。
そして彼女は眠る。猫みたいに丸まって、傍らに座る私を置いて、夜ごとに太陽の塔の夢を見る。


★太陽の塔/森美登美彦★

マリ |MAIL






















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