宿題

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2005年07月25日(月) (54-15)+39=0/忌野清志朗
何てこった。暑い。いや、そうじゃない。俺は煙草をやめた。煙草を吸うのをやめたのだ。
15才の時から39年間、吸い続けてきた煙草を、あっさりとやめてしまった。
2日目は苦しかった。2週間目は気持ちが悪かった。2ヶ月目には低体温で風邪を引いたようだった。
そして今こう思うのさ、「タバコを吸うのは頭の悪い人間だ。」
3ヵ月が過ぎると楽だ。体調もいいし、何といっても息があがらない。
ロック・バンドのツアー、ライブはスポーツである。ものすごい汗を流す運動だったのだ。
音楽かもしれないが、それよりもスポーツの要素が強い。体力勝負なのだ。
35年もやってきて、やっとわかった。ここ5年くらい自転車に乗り始めてわかったんだ。
「なんだ、俺のやってきた事はスポーツだったんだ」と思ったよ。すばらしい。
最近ではあまり音楽を聴かなくなった。
リハーサルのテープを本番の日まで何回も聴いていたりしたものだが、今ではまったく聴かない。
一度も聴かない。ツアー中のホテルでもテレビばっかりみている。
CDも作ってしまうと、もう聴かない。自分の曲も聴かないのだから、他人の曲なんか聴くわけがない。
いろんなCDが送られてくるけど、聴かずに捨てている。
あーこれは大きな声では言えないことだな。
どうせ聴いても99パーセントはつまらない音楽なのだ。
俺は自分に一番興味があるんだ。他の奴には興味がない。
それでも、自分の曲も作ってしまえば聴かないんぜ。他人の音楽なんか死ぬほどつまらない。
退屈で死にそうだ。早くやめちまえ。たのむから俺に聴かせようとしないでくれ。
ビデオや様々な映像も同じだ。一度観てしまえば充分だ。
何度もくり返し観たり聴いたりするのはバカげている。
なぜなら、いくらいい作品であってもセールスで成功しなくては、
この資本主義の世界では意味がない。何の価値も無いというわけだ。
くだらんというわけだ。何百人のスタッフの方々がコーフンして俺をたたえても、
一般の素人の人達に受け入れられなければ、何の足しにもならんのだ。
永年やってきて、このような結論に達したわけである。
夢を持つのは結構なことでそれを実現するために努力するのは素晴らしいと思う。
だが、たいして売れもしなCDやDVDを作ったくらいで夢を実現できたと思うのは甘い。
それで本当に満足なのかい?自分に嘘をついていてはダメだ。
大橋巨泉の本に書いてあるそうだ。
「成功したいのなら、まずタバコをやめろ。」


★(54-15)+39=0/忌野清志朗★

マリ |MAIL






















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