宿題

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2004年12月17日(金) 寛斎は越えている/大島渚
一九八二年、準備に五年を要した『戦メリ』がようやく具体的な準備に入ったころ、

寛斎から久しぶりの電話があった。

晴海のモーターショウの大会場でショウをやる、そのモデルになって出てほしいということだった。

「大丈夫ですかねえ」

とは言ったものの、心は決まっていた。

これは冒険であった。そして冒険は成功するというのが私の昔からの信念だった。

もちろんこれは私の冒険ではない。寛斎の冒険である。寛斎ほどの男が冒険するのだ。

成功しないはずがない!

一方、私も『戦メリ』で冒険をはじめていた。これはもともと冒険だった。

日本人監督としてのはじめての国際的合作、英語、外国人のスター、スタッフ、

遠い南太平洋でのロケ、十六億の予算。五年間、金が集まらなかったのも無理はない。

それがいよいよやれるということで、私は冒険の上に冒険を重ねようとしていた。

まず、たけしを決め、次に坂本を決めた。

誰ひとり思いつきようのないキャスティングだった。私はもう勝ったと思った。

最高に昂揚していた。


★寛斎は越えている/大島渚★

マリ |MAIL






















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