宿題

目次(最近)目次(一覧)pastnext

2004年08月30日(月) 躁鬱対談/吉行淳之介×林家木久蔵
ぼくは工業高校を卒業しまして、森永乳業に入ったんです。

つまらないんで一か月たたないうちにやめちゃったんですけど。



(清水崑さんのところで書生をしていたことを)

びっくりしちゃったんですよ。漫画家というから、ニコニコしながら、

くだらないことばっかり言っていて、ときどきああいう絵を描いているんだろうと、

だいたい思っていたんです。



(桂三木助師匠のところで書生をしていたことを)

なんてバカバカしいことだと思ったけれども、この世界はこういうものだろうなと思ったから、

半分、野次馬的なものがありましたが、やっていたんです。



ぼくはなにも知らないんですよ、落語のことも興味なかったし。

いまでもあまりないんですけれどもね。



私はね、けっこういろんなことができるんですよ。襖も張れるんですよ。



(バクチはぜんぜんダメですか、と聞かれて)

興味がぜんぜんないんですよ。

ぼく、同じところにずっといるのが大嫌いなんです。すぐいなくなっちゃうんですよ。



(スポーツ番組のキャスターをした時に)

変なところへきちゃったなと思って。まあ、月々まとめてお金をくれるし、

マイク持ってるからやんなくちゃいけないし、いやだなと思って。

同じようなユニフォームで交代して打ってるけど、

どっちが敵だか見方だかわからないんですよ。

風は強くなってくるし、西日は強くなってくるし。

いい席なんですけど、放送をやるくらいですから。

「後楽園球場には林家木久蔵さんがいっております。木久蔵さーん」って呼ばれたんです。

「はいはい、後楽園球場の木久蔵です。

いま西日が大変強く、コーラのビンにそれが映ってきれいです」

「コーラのビンなんかどうでもいんです。勝負はどうなってんですか」

「よくわかんないんですけど、この場合ピッチャーとキャッチャーは味方同士なんでしょうか」

って。ダメだなと思われたらしくて。その日はスポーツのワイド番組なんです。

今度は蔵前の国技館。お相撲さんにも興味ないんです。

ぼくの隣に解説の人がきたけど、肘掛にお腹が乗っかっちゃってるんですよ、

ダボーンて。こわいんですよ。



襖張ったり、漬物をつくるのが好きなんです。漬物はうまいですよ。



嫌いじゃないんです。興味がないんです。



(女の人の好みの話で)

ぼく、うちのかみさんもそうですが、でっかい人に弱いんです。

ぼくを見おろすような人が好き。見おろされるとゾクゾクしてくるんです。



安心するんです、すごく。

ああ、こんな大きい人も元気でいるなあと思うと、自分もうれしくなっちゃう。



本当に大変だと思う、ぼくらより大きいからだの仕掛けを動かすのは。

なおかつ元気だから、大丈夫だなあと安心する。


★躁鬱対談/吉行淳之介×林家木久蔵★

マリ |MAIL






















My追加