宿題

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2004年06月17日(木) 曇天の午後四時からの脱出/穂村弘
ディスプレイに向っている奥山有紀子に、後ろから声をかける。

「窓の外を見て」

奥山有紀子は窓の外を見る。

「見えるだろう。あれが曇天の午後四時だよ。正確には午後四時五分。こわいんだ」

奥山有紀子はゆっくりと振り向いて私を見た。その目が面白そうに輝いている。

「ほむらさん、なにどしですか」

私は自分の干支を答える。

「わたしとおんなじですね」

私はくるっと振り向いて、ふらふらとエレベータの方へ歩き出す。

両眼から涙がたらたら流れている。

おんなじですね。おんなじですね。おんなじですね。

そのひと言がたまらなく優しい言葉に思われて、心の中で何度も繰り返す。

おんなじですね。おんなじです。


★曇天の午後四時からの脱出/穂村弘★



■穂村さんのは抜き出すと、抜いたとこの
後とか前とかがいいような気がしてきて、
でもそっちを書くとそれも違う気がして、いつももやもやした気持ちに。

マリ |MAIL






















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