宿題

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2004年03月01日(月) 気まぐれ美術館 セザンヌの塗り残し/洲之内徹
風が見えることがある、とも言った。

初めてその経験をしたのは秋田の街を歩いていたときで、向こうから吹いてきて、

あたりまえなら躯に当たると躯をよけて行くはずの空気の流れが、

自分の躯を突き抜けて行くのがはっきり目に見えた。

たぶん、そのときの自分は、世間的な余計なことは何も考えず、

ただ踊りのことだけを考えていたのだ。

瞳孔が開いていたかもしれない。その後、東京でも、調子のいいときは風が見えることがある。

すると、その風に向って歩いて行く足取りがだんだんおそくなり、

躯の動きがスローモーションの画面みたいになって行く。

そして、そういうときに、きまっておまわりにつかまる。

「これ、異常なんでしょうかねぇ」

と彼は私に言った。

「そりゃあ異常なんだろうよ、おまわりが捕まえるんだからな」

みんな笑ったが、私自身は考えこんでしまった。


★気まぐれ美術館 セザンヌの塗り残し/洲之内徹★



■ギリヤーク尼崎という、踊りを踊る人の話。

マリ |MAIL






















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