宿題

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2003年07月31日(木) 西瓜糖の日々/リチャード・ブローティガン
いつだったかわたしは、送水管が水のいっぱい入った楽器で、

水の水面にはいくつもの鈴が小さな西瓜鎖で下げられていて、水が鈴を鳴らす、という夢を見た。

フレッドにこの夢のことを話すと、かれは結構な夢だといった。

「それだったら、そりゃきれいな音楽が生まれるだろうなあ」

わたしは送水管沿いにしばらく行ったが、鏡の像のところで送水管が川と交差している場所にくると、

身じろぎもせず、長いこと立ちつくしていた。

川の中の墓がどれもこれも光を放っていた。

みんなが、じぶんはそこに埋葬してもらいたい、と考える場所なのだ。

わたしは柱にかけられた梯子を昇って行って、送水管の縁に腰かけた。

地上二十フィートぐらいのところで、わたしは足をぶらぶらさせていた。

もう考えることもなく、目に止めるものもなく、わたしは長いことただそうして腰かけていた。

もう何も考えたくも、見たくもなかった。送水管に腰かけたわたしを道連れに、夜が更けて行く。



わたしたちが恋人同士になってから、かの女はなんとよく眠るようになったことだろう。

不思議なことだった。

ランタンを手にして、夜の長い散歩に出かけた少女とはポーリーンだったのだ。

ポーリーンこそ、わたしがさまざまな思いをめぐらせた少女だったのだ。

かの女が、道を行ったりきたり、あそこで止まったり、この橋で、この川で立ち止まったり、

あすいは松林の木々の間に立ち止まったりした少女だった。

かの女の髪は金髪で、そして、かの女はいま眠っていた。

わたしたちが恋人同士になると、かの女は夜の長い散歩をやめた、でも、わたしはいまでも散歩する。

夜、長い散歩をすることが、わたしは好きなのだ。


★西瓜糖の日々/リチャード・ブローティガン★

マリ |MAIL






















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