宿題

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2003年07月03日(木) 邯鄲/三島由紀夫
次郎「君ってほんとうにきれいだ。でも皮をむけば、やっぱり骸骨なんだ」

美女「え?」

次郎「皮をむけば、やっぱり骸骨なんだよ」

美女「あらいやだ、あたくしそんなこと考えてみたこともないわ(思わず顔にさわってみる)」

次郎「骸骨に美人なんてあるかい?」

美女「そりゃあ、あるでしょうよ、きっと」

次郎「すごい自信だな。でも今キッスされたときね、君の頬っぺたの下でね、

君の骨が笑っているのが、僕にはわかったよ」

美女「顔が笑えば、骨も笑うわよ」

次郎「ふん、あんなことを言ってる。こう言わなくちゃいけないよ。

顔が笑うとき、骨は笑っているんだ、それはたしかさ。

しかし顔が泣いているときも、顔の骨は笑っているんだ。

骨はこう言っているんだよ、笑わば笑え、泣かば泣け、今に俺の天下が来るんだ、ってね」

美女「骨の天下!すてきね、そんなことを考えるの」

次郎「女の批評って二つきりしかないじゃないか。『まあすてき』『あなたってばかね』

この二つきりだ」

美女「なんて可愛らしい辛辣な坊やでしょう(女いといげに次郎を見る)」


★邯鄲◇近代能楽集/三島由紀夫★

マリ |MAIL






















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