宿題

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2003年04月28日(月) 最初の記憶/藤子F不二雄
ワーワーと大歓声。

十人くらいの大人が走っている。

中の一人がこっちへ突進してくる。ランニング姿で汗ビッショリになって。

誰かの手がぼくをその男に手わたす。男はぼくを小わきにかかえて猛然とつっ走る。

ふって沸いた災難にぼくはギャアギャア泣き叫ぶ。

(運動会の借り物レースだったらしい。)

初めて昇った隣家の階段。

ふり向いて下を見たらこわくなり、

降りるに降りられずペタッとと貼りついたままベソをかく。

床屋の椅子。

それまで背中を支えていた部分がググーッと倒れて行く。

ひっくり返りそうで一緒に身体を倒すのがこわい。

いくら大丈夫といわれても信じられない。泣く。

学校のグラウンド。野球という物を初めて見る。

飛んでいる小さな球を細い棒で打ち返す。それをハッシと受け止める。

人間わざとは思えない。

大きくなったら自分もあんな事をしなければならないのか。

大人になるのはいやだなあと、つくづく思う……。

以上を並べてみると、いかにも冴えない幼児像が目に浮かぶ。

その後の多難な人生を暗示していたのでしょうかね。


★最初の記憶/藤子F不二雄★



■「Fujiko・F・Fujio World」から。

マリ |MAIL






















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