宿題

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2002年11月21日(木) 霧のむこうのふしぎな町/柏葉幸子
とつぜん。風がブワーとふいた。

森はいっせいにガサゴソといい、かさがぱっとひらいて、風にとばされた。

リナは、つかまえようとしたが、かさは二本のヒマラヤすぎのあいだにかくれてしまった。

リナは、かばんをつかむと、あわててそのヒマラヤすぎのあいだにとびこんだ。


背の高い木がしげっていて、うす暗い森の木のあいだに、白いものが見える。

たしかにかさだ。

ところが、リナがそこまで追いつくと、かさはそれよりちょっとさきへいってしまう。

リナは、むちゅうになって、追いかけまわした。

木々は、そんなリナをあざわらうように、リナの頭の上で、ザワザワ音をたてている。

ふっと気がつくと、白いものがながれはじめている。

霧だとわかったときには、一メートルさきもぼんやりかすんでしまった。


思いがけないできごとに、リナは、まっさおになって立ちすくんだ。

まだ夕方でもないし、そんなに高いところまでのぼったわけでもないんだから、

すぐに晴れるにきまっていると、ひっしになって、自分にいいきかせた。

へたにあるきまわらないほうがいいのかもしれない。

リナは、なみだをこらえてその場に立ちどまった。

 
さっきまであせをかいていたのに、もうはだ寒い。

むきだしのうでには、鳥はだがたってきた。すこし運動でもしてからだをあたためよう。

リナは元気をふるいおこして、いっち、にっと、足ぶみをした。


あれっ、おかしいな、とリナは思った。

なんとなくおかしい。足の下は土の感触じゃない。

それに、コンコンとかたい音がしたような気がする。

リナはかがみこんで足もとを見た。

左足は雑草の上に、右足は石の上にある。それもたいらな石。

リナは、もう一歩、霧の中へふみだしてみた。


やっぱり石の上で、リナの白いくつが。コーンと音をたてている。

リナが一歩ずつ、コーンという音をたしかめながら、あるいていくうちに、

幕があがるように、さっと霧が晴れていった。


リナは、ぽかんと口をあけて、あたりを見た。

目の前に小さな町があったのだ。



★霧のむこうのふしぎな町/柏葉幸子★



■いくら食べても太らないトケのお店のお菓子、
「むちゅうでたいせつに」読むことが代金のナータの古本屋。

もう何回読んだことか、と思ったけど、でもこの通りをみんなで
「気ちがい通り」って呼んでる、っていうのは忘れてました。

その「気ちがい通り」こと霧の谷へ、主人公のリナが入っていく場面。

マリ |MAIL






















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