○プラシーヴォ○
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2002年08月14日(水) 血がとまりません

お店の定休日の水曜日。


ハム男は盆休み。


二人揃って丸々一日休みだなんて

いったい何週間ぶりだろう!


嬉しくて嬉しくて

寝る前にハム男にいっぱい提案をした



「城崎温泉行く?有馬温泉行く?

 フルーツフラワーパーク行く?
 
 あ〜、どうしよう!」



眠いから明日決めようね、と言って

眠りについた。


起きると、ハム男が突然言った


「映画にしようか」


とりあえず、いつも行く映画館に行ってみた。

そこは、ショッピングビルに入っている映画館で

7つほどスクリーンがあり、

場所が不便なのでいつでもすいているのだ。



行くと、絶対に見たくない

つまらなそうな映画ばかりだった。

(夏休みということもあってか、
 
 子供向けの映画が8割をしめていた)


その時点でもう15時で、

今から行き先を変えて遊びに行くには

中途半端な時間だった。


とりあえず駐車場に戻って車に乗る。


ねえ、大阪に行こうか。

「人が多いところは嫌」

ねえ、有馬温泉に行こうか。

「もう遅くなっちゃうよ」

ねえ、神戸に行こうよ。

「もう、じゃまくせえよ」

じゃあ…帰ろう。


そこで、私の不機嫌な声に気づき、

ハム男が私の顔を見て笑った。


何がおかしいの?


何週間ぶりの丸一日の休みに

私達は何をやっているの?


ねえねえ、道を歩いてるカップルは

あんなに楽しそうだよ


涙が出てきそうで

窓の外を見た


もう嫌だ


しばらく走って、ハム男が言った



「アポロシアターに行くか?阿倍野の。
 
 がちゃ子、行ったことないだろう?」


「別にもういいけど」


「…なんでそういう言い方をするんだよ」


ハム男の怒った声

血が引いていく


「がちゃ子はどうして、そうやってすぐ怒って
 
 すぐ拗ねるんだ?

 もう…疲れるよ」


ふう〜っと、

私は静かに長く息を吐いた


知らず知らずのうちに

息を止めていたらしい


「…俺が、怒ったことあるか?

 がちゃ子のすぐ怒るクセ…よくないぞ」



わたしだって、りゆうもなしにおこったりしないわよ

おこられるようなことをしてるのは

はむおでしょう???

わたしばっかりせめるまえに

じぶんがいいかげんなことをしてるのに

きづきなさいよ


なんて反論を思いついたのは

ずいぶんと後のこと


その時はただ、窓の外を見ながら

飛び降りてしまいたいと思っていた


ワカレマショウカ?


って、すごい勢いで頭の中で回るけど

なんとか歯をくいしばって

口からこぼれださないように押さえ込む


もうここでそれを言ってしまうと

どちらも後に引けなくなるから


別れざるをえなくなるから


「疲れるよ」


ハム男の言葉が

痛くて痛くて

右手が勝手に握りこぶしをつくって

爪が手の平に限界までささってる



助手席でぶるぶる震える私を乗せたまま

車は大阪の駐車場に止まった


おそるおそる車を降りる


人ごみをかきわけて

映画館に行ったけれど

1時間後でないと

どの映画も始まらなくて

それを待ってまで見たいような映画は無くて


30分ほどウロウロして

また車に乗った


その間私はずっとニコニコしていて

「この映画、見る?

 あと一時間待たなくちゃだめだね〜

 ご飯でも食べとく?

 でもお腹いっぱいだね〜」

なんて、一生懸命ハム男に話しかける。


「別に、待ってまで見たい映画じゃないしな」

あっさりと言ってさっさと映画館に背を向けるハム男


ツカレルンダヨ


ハム男の言葉が孫悟空の輪のように私の頭をしめつける

文句をいえない


「そ、そうだよね

 いい映画じゃないよね

 よし、じゃあどうしよう?ハム男はどうしたい?」




これからずっと、こうやっていくの?

ずっとずっと

笑顔をギリギリと音がするほど

無理やり貼り付けて?


怒る人がいるのは

怒られることをする人がいるからでしょう?


違う?

疲れた



初めて怒ったハム男の声と

顔が

はりついて


私はきっと

一生どこかで

怯える


がちゃ子 |偽写bbs

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