○プラシーヴォ○
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磁石ですいつけられるみたいに 新郎と新婦は時々見つめ合ってウフフと笑う
それは、スピーチでもからかわれる程 幸せそのものの光景で、 私達はただ羨望の眼差しで、おめでとう、と 口々に言うことしかできなかった
2次会でも、とにかく新婦を守るように 常に寄り添って新郎は腰に手を回している
妊娠4ヶ月とはいえ、全然目立たないお腹を時々触りながら また新婦は新郎を見て微笑む
気がつくと、私は友人と3人で、 2次会会場そばの喫茶店でコーヒーを飲んでいた
「あ…、終わったんだ」
なに言ってんのよ、とyouちゃんが笑って 油とり紙でおでこを押さえる 「あっという間だったわよね 2次会も、楽しかったし」
同い歳の友人、トモがお腹のそこから息を吐いて、 細めのタバコを再びくわえる 「ほんっとにイイ男だったわよね〜 優しそうでさ〜 もう一人くらいいないのかしら、あんな男」
ハム男とすごく違う
と言うと 2人からそれぞれ頭を叩かれた
「彼氏がいるだけいいじゃないの …ハム男君だって、優しいでしょう?」
今日の新郎ほどは優しくないよ 自分が面倒臭いことはしてくれないし 私から言い出さなければ会おうともしてくれないし 自分が楽しい時は連絡してくれないし (現に今日も、友人と遊んでいるだろうから 23時現在も電話はかかってこない)
新郎の光に照らされて うちのハム男の汚くてどうしようもない部分が うき上がって、見えてきてしまったよ
明日、逢えるんだろうか
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