○プラシーヴォ○
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人の気持ちが、分かりすぎる時ってないですか? 私は…ずっとずっとそうだった
だから私は、会話の中で 相手が言って欲しい言葉を織り交ぜる
多少キツイ言葉 卑猥な言葉 母のように優しい言葉
相手が気づいていないくらいの 心の底にうずくまっている真実を 私がズバリと言ってのける
だから相手は
『私の気持ちを分かってくれるのは がちゃ子だけだよ』
と言って、潤んだ瞳で私にすり寄ってくる
違う 違うよ
あなたが言って欲しいことを言っただけだよ
私が思っていることを 言ったわけじゃない
私はカラッポなんだよ
何も考えていないんだよ
−鈍感−
って悪い言葉じゃないと思う
鈍感になりたい
波が海底の砂を揺り動かす程の速度で ゆっくりゆっくりと
でも確実に
私から心が離れていっているハム男に
気づきたくなかったよ
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