○プラシーヴォ○
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2001年11月11日(日) 近親相姦

「おい、なんだこれ?」
ハム男が、私のパジャマの胸元を
片手で大きく開いた。

「鏡、見てみろよ!」

ハム男が手渡してくれた手鏡を恐る恐る覗き込む。
首から胸もとにかけて
赤い斑点が広がっていた。

「顔もすごく赤いし…その酎ハイが体に合ってないんじゃないのか?」

ハム男はそう言って、
私がさっき飲み干した500ミリリットルの
酎ハイの缶を持ち、成分表のところをしげしげと読む

確かにさっきから異常なほど息苦しい。
喉が腫れてふさがっているように、呼吸がしにくい

酎ハイは止めて、
冷蔵庫からビールをとってきて
再び飲み始める。
心なしかマシになったような…?

ハム男がそんな私の胸元を何度も何度も覗く。

そして
「よしよしだいぶ治まってきたな」
と確認する。
それはまさしく、お父さんが娘のケガを心配するそれだった。
欲望や下心とは無縁の動作。

うう…
と、喉が鳴ってしまった
物欲しそうな、性欲の唸り声

ハム男が気づいて、私の顔を見る

金、土、そして今日と
まったく私に触ってくれないハム男。
それと反比例するように
自分が性欲だけの女になってしまったように思うほど
私はハム男が欲しかった。

よしよし、と私の頭を撫でて、ハム男が手早くカーテンを閉める。
そしてテレビの音量を少し上げる。

もうすぐ終わりそうとはいえ、生理中の私を
そっと愛撫するハム男

ハム男の下半身に伸ばそうとする私の手を、
空いている片手でハム男が阻止する

不思議に思いながらも、私は手を引っ込めない。
そして、なんとか触れることができたが
ハム男のそれは無反応だった

驚く私の顔を見ずに
ハム男は私を一人で送り出した

「…ありがとう、気持ちよかった」
ハム男の首にぴったりと張り付き、
お礼を言う。

「俺、もう歳なのかなあ。ごめんな」

ハム男が愛し合う形になれないのは
私への愛が薄れたからだろうか とか
カスミちゃんができちゃった結婚することを
心のどこかでハム男も自分と対比させて苦しいのかな とか
いろいろ考えてしまうけれど

本当のことはハム男にしか分からない

「愛してるよ、ハム男」
これも初めて口に出した。
あいしてる って字数が多すぎて
言ってるうちに嘘っぽくなりそうで言えなかった

言ってみると
なんて力のある言葉なんだろうと
初めて知った

「俺も愛してるよ
 がちゃ子の体の斑点を見て怖かった
 このままがちゃ子がどうにかなってしまったらと思うと
 怖かったよ」

父のような静かな愛

これもまた 愛のカタチ


がちゃ子 |偽写bbs

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