○プラシーヴォ○
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「結婚したいの?したくないの?」
ちょうど、3個めの餃子を口にいれたところだった。 じゅわじゅわと溢れる肉汁を飲み込みながら、 母の方を見る。
母は食器を洗いながら、首だけをこちらに向け、 質問したまんまの顔で私を見てる。
「今の苗字が珍しくて大好きだから それ以上の変な苗字の人としか結婚しないの」
私がそう言うと、母が笑う。
「やだあ、私もパパと結婚するときそう思ってた! 自分の苗字が大好きだったのよ!」
親子だなあ。
そして、いつの間にか私を産んだ時の話をしだした。
へその緒が二重にも三重にも首に巻き付いていて、 産まれた後もまったく泣かず、 産婆さんにお尻をしこたまたたかれ ようやく声を出したこと。
産まれて1日たっても 体が鮮やかな紫色で、今にも息がとまりそうだったこと。
「もし、子供を産んだあと虐待しそうになったら とりあえずママのところへ持ってきなさい あと1人くらい育てられるから」
だから、もう中絶しちゃだめよ
そう聞こえた。
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