○プラシーヴォ○
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早起きして、ハム男と 映画『パールハーバー』を見に行った。
見ている途中で頭が痛くなってきた。
映画館を出ると、ハム男も具合が悪そうだった。 久しぶりの人ゴミに二人とも酔ってしまったらしい。 「つくづく、都会が似合わない二人だね」 と笑いながら昼食を食べて帰路につく。
16時前ころにハム男の家につくと、どろりと睡魔が襲ってきた。 今朝、日曜にハム男とデートできるのがなんだか嬉しくて、 7時に目が覚めて1人ではしゃいでいたツケが今きたらしい。
汗で体に張りついた衣服を脱ぎ捨てながらベッドに倒れ、 「ごめんね、ハム男。ちょっとだけ寝させて・・・」 といいながら意識を失う。
19時頃、目を覚ますと、隣でハム男も寝ていた。 頬を軽く噛むと、顔をしかめて笑いながら目を覚ます。
ふと、聞いてみた。 「今週末の連休、日曜日はやっぱりサッカーがあるの?」 「うん・・・ある」 ぴきっ、と体が固まった。
まさかとは思うけど・・・重ねて問う。 「金曜日は?金曜日は無いでしょう?」
天井を見つめながら、ハム男はうなるように喉を鳴らした。 「ああー、金曜日はおっさん(ハム男より2歳上の友人)の 誕生日だから・・・」
ハム男を含めた3人の友達衆は毎年誕生日を迎えた人に、 他の二人がプレゼントをしたり食事をおごったりと、 1日中遊び倒すことになっているらしい。
ぱたぱたと涙が落ちる。 でも、ハム男はテレビの方を向いているので気付かない。 慌てて布団で顔をこすり、歯をくいしばって涙をとめる。
「せっかく、連休なのに。つまんないなあ」 と笑いながら言ってみる。
ハム男が私の方を見る。 そして、困ったように私の名を呼びながら抱きしめてきた。 あきらかに私が泣き顔だったらしい。 せっかく止めたのに、また涙が出てきてしまった。
お願いだから と私は私にテレパシーを送る お願いだからこんなことでイチイチ泣かないで 面倒くさい女だと 思われたくないから お願いだから・・・
「あはははは、嘘泣きできるようになってん。びっくりした? なんせ、わたくし女優ですから」 と、笑いながら立ちあがろうとする私を ハム男は柔道の寝技のように組み伏せたまま、 ゆっくりと話した。
「がちゃ子、ドライブに行こう。 もうすぐ九州の実家から俺の車を持ってくるから、 そしたら、どこにでも連れていける」
分ってるよハム男。 三日や四日会えないくらいじゃ、 私はハム男を嫌いになれないから 安心して遊んできて。
ただし、来週の土日は一緒にいてね。
あの子を天国に返した日の前後は 私といなくてはダメ
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