短編小説部屋...まどう ゆう

 

 

プレゼント(振り/阿部誕・ハナベ) - 2010年12月11日(土)

三橋の誕生日を皆でお祝いしたのを切っ掛けに、西浦野球部ではささやかではあったが部員の誕生日を祝っていた。

11日は阿部の誕生日なので皆でお祝いしょうという事になっている。

毎回、幹事を決めてその日の主役が喜んで貰える様に演出をする様にしているだが、幹事によっては皆で楽しむ内容になっていて主役が置き去りになる事もあった。

今回の幹事は水谷で『阿部さんに喜んで貰える様に文貴頑張る』とか言ってはいたが、心配性の花井は大丈夫だろうかと思っていた。

何を企画しているのかは知らないが、主役本人に取り合えず聞いておこうかと阿部に声をかける。

「阿部は今、欲しいものとかあんの?」

「欲しいもの?」

何で急にそんな事を聞いてくるんだと問われて、上手く誤魔化せそうにもなかった花井はもう少しで誕生日だろうと言うとあーそうだなと阿部はあまり興味なさそうに返してくる。

「プレッシャーに強いホームランバッターとか狙った場所に必ず打てるバッターが欲しいかな?」

欲しいものはないけど、そんなバッターが欲しいなとにやにやと嫌な笑いと共に言われた花井はあのなぁと軽く落ち込みそうになる。

「…オレにそうなれって言うのかよ」

自分がプレッシャーに弱いのも田島が塁に出ているチャンスを生かせない事が度々ある事も花井は良く分かっていた。

「そうなってくれっとかなり楽になるんだけどな」

期待してますよ、キャプテンとにっと阿部に笑われた花井は咄嗟に返す言葉を失う。


阿部が望むならそうなってやりたいし、自分でもそうなりたいとは思うが簡単にはなれそうもない。

欲しいものだって言ってるだろうがと『もの』なのだと強調して言い返しながらも阿部の望むプレゼントを渡せる日が少しでも早くなれば良いと花井は思うのだった。







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