短編小説部屋...まどう ゆう

 

 

銀色の月(カカイル) - 2007年10月03日(水)

イルカには顔見知りの一匹の猫がいた。

アカデミーの帰り道、月の光に綺麗に輝く毛並みを持った猫に出会った。

初めはイルカの存在に気付くとぱっと逃げてしまっていたのだが、自分に
害をなさない存在だと分かったのかやがて逃げない様になった。

その猫は真っ白なのだが月の光に照らされると銀色に輝く。

それはイルカが密かに想いを寄せるカカシの髪の様に見えた。

やっと体に触らせてくれる様になった時にその猫の瞳が青と赤のオッドアイ
だったのだと気付いた。


「…ふふ、本当にお前はカカシ先生みたいだな」

実際に見た事はなかったが、カカシの左目の写輪眼は赤いのだとイルカは
知っている。

カカシを思いながらふわりと笑ってイルカは猫を優しく撫でると、にゃーん
と鳴いてその手に甘えて猫は体を擦り寄せた。

ふわふわとした毛並みはとても綺麗に手入れされていて、首には金色の鈴の
ついた赤い首輪をつけている事から彼が飼い猫なのだという事ははっきり
している。

「こんな夜中に散歩してて飼い主は心配してないのかな?」

「うにゃー…」

イルカの問いかけに答える様に鳴いた猫は何かに反応してひらりと撫でる
手から体をすり抜けた。

どうしたんだ?と思った瞬間、自分の足下に誰かの影があるのに気付いて
イルカは顔を上げる。


「あ…」

「すいません、脅かすつもりはなかったんですけど」

猫、逃げちゃいましたねと謝ったのは任務帰りと思われるカカシだった。

「いいえ、良いんです。あいつちょっと人見知りするみたいなので…」

だからカカシ先生は全く悪くありませんとイルカは慌てて立ち上がると
そう告げる。

「そうなんですか?イルカ先生にはだいぶ慣れているみたいでしたけど」

「オレとは顔見知りなので。最近、やっと触れるまでになったんです」

「そうですか」

にっこり笑うカカシの髪はあの猫よりも綺麗に月の光で輝いていた。

イルカはその様子に目を離せなくなってしまう。

「どうしました?イルカ先生」

「す、すいません」

じっと黙ってカカシを見つめてしまっていた事に気付いてイルカは謝罪
する。

「あまりにも綺麗だったもので」

かなり慌ててしまったイルカは言わなくても良い事まで言ってしまって
いた。

「…月がですか?」

自分の後側にある月を振り返ってカカシはそう聞き返す。

「いえ、カカシ先生です…」

「…オレがですか?」

素直に答えてしまったイルカの言葉にちょっと驚いた様な表情をカカシは
見せた。

「イルカ先生は変わってますね」

そんな言葉とは違って優しく笑ったカカシはまるで銀色の月の様にイルカに
は見えるのだった。 


...



 

 

 

 

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