singersong professor KMの日記

2011年01月02日(日) あけまして

あけましておめでとうございます。

元旦の朝日新聞で教育問題に関して世論調査が掲載されていた。職業柄関心を持たざるを得ない。そこで一番目について気にかかったことは,「学ぶ機会」という項目で,「全体的に強い平等指向がうかがえる」という。これからの学校教育を考えるとき,「すべての子どもに基礎的な学力を身につけさせること」が86%と大多数を占め,「できる子どもを伸ばすこと」には否定的だった,という。戦後に日本の平等主義は,高度成長をもたらし,成功してきたといって良いかもしれない。けれども,「できる子どもを伸ばすこと」に否定的,と言う調査結果に対しては疑問を感じざるを得ない。

戦後教育の最大の問題はエリート教育を否定したことだ。旧制高校,いわゆるナンバースクールはその役割を果たしてきた。そのように育てられた世代が戦後も社会をリードしていた昭和50年代頃までは,日本社会もそれなりにバランスがとれていた。そういった世代が退くにつれて,社会の劣化が始まったように思う。そしておまけに,とどのつまり上記のようなアンケート結果だ。エリートがノブレス・オブリージュ,高貴な身分のものにとっての義務感がなくなったら,そして本来エリートである人たちが自由主義を謳歌したらどうなるのか。およそその結果は推して知るべしだ。80年代末の日本のバブル・バブル崩壊,2008年米国のリーマン・ショックしかりだ。また,改めてこの問題を考えてみたいと思っています。


 < 過去  INDEX  未来 >


singersong professor KM