人間短所ばかりの人もいないし,長所ばかりの人もいない。しばしば短所は長所であり,長所は短所である。今日の講義でそんな話しをした。コーポレート・ガバナンスに関わって,1990年代に入ってから,日本的経営の短所(なれあい)ばかりが取り上げられるが,その同じ日本企業が1980年代は,「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と持ち上げられていたもの(長期的視野の経営)である。同じものが時には長所に見え,場合によっては短所に見える。表から見るか,裏から見るかの違いに過ぎない。
ところが,人間偏った見方しかしないもののようである。最近読んだ,ゴードン「日本の200年」(みずず書房,2006年)でも同旨のことが書いてあった。最近の日本はあまりにも悲観的でありすぎた。メディアがそれをあおり立てた。
最初に書いたように,日本企業をどちらから見るかで変わってくるが,人間も同じで,しばしば人間は追いつめられ悲観的になると,自分の短所ばかりが見えてくる。実はその短所はその人の長所である場合が多い。就職活動を控えた学生諸君にも,それを言う。自分の短所と長所,それは同じ性格から出てくるのだが,それを見据えなさい。短所ばかりが気になる人に,それを裏から見れば,長所なのだから,長所としてみればどうなるか,考えてみなさいと言う。そういう複眼思考が,どの場合にも必要なのだが,当事者は自分のこととなると,それをしばしば見失うのである。他人の目から見れば,すごくよく見えるのだが。
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