新年度が始まった。ゼミも始まった。いよいよである。明日は会議の予定。そして,木曜日は大阪オフィスでの社会人大学院だ。その準備に追われている。一番頭を悩ますのは,一体,どの程度の講義をすればよいのかである。
学部の講義でもそうであるが,学生の水準にばらつきが大きいとき,どの層にあわせて講義をするかということが問題になる。私が教えられたのは,上位層にあわせるべきだというものである。
それは,大学生がエリートであった時代の話ではないかと思う。今はどうも違うように思う。私の場合,真ん中からやや上程度にあわせて講義しているように思う。そして,落ちこぼれ組に対しては質問カードを書かせて,これに答えるという形でフォローしている。
「お客様は神様である」とまではいかないが,やはり「顧客満足」は必要だろう。われわれの学生時代には,およそ考えられないことだ。そのころ,有名な星野芳郎という工学概論および技術論の先生がおられた。この講義は面白かった。顧客満足は一番だった。
その昔,アルバイトで紙芝居屋をしていたとかで,話すのがうまかった。われわれ学生を引きつけるものであった。その講義はいまだによく覚えている。と言っても細部は忘れた。いわゆる技術発展段階説と言うものであったと記憶している。
先生は,当時カッパブックスのベストセラー「マイカー」で売り出し中だった。だから学生の関心度も高い。マイカーがまだ普及していない頃であった。ホントに一昔もふた昔も,さらに前の話だ。
私の今の講義に対する心構えの中に,この星野先生の講義がある。やはり,面白くて為になる講義でなければならないと思っている。学生時代の事を言い出したらきりがない。この辺りにしておこう。
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