| 2004年11月22日(月) |
映画 『 SAW 』 は面白い |
「 SAW ( ソウ ) 」
�� [ 動詞 ] SEE の過去形
�� [ 名詞 ] のこぎり
�� [ 名詞 ] 諺、格言
話題の映画 『 SAW 』 ( R−15指定 ) を観てきた。
面白いが、心臓の弱い人はちょっと、控えたほうがよい作品である。
今年一月の 「 サンダンス映画祭 」 の話題をかっさらい、その噂は瞬く間に 「 カンヌ映画祭 」 に波及し、全世界のバイヤーが争奪戦を繰り広げた。
日本では上映館が少ないので、興行収入的には伸びないかもしれないが、これは紛れも無い 「 B級映画の傑作 」 として語り継がれるだろう。
どんな映画なのかというと、「 異常性格の連続殺人鬼 」 が登場するので、ジャンル分けするならば 「 サイコホラー・サスペンス 」 というところか。
おぞましい猟奇殺人の恐怖もさることながら、なにか考えさせられる部分もあり、クライマックスには アッ と驚く 「 どんでん返し 」 が用意されている。
アカデミー賞を狙えるような映画ではないけれど、「 ゾクっとする映画 」 を観たい向きには、是非ともオススメしたい一本である。
冒頭の場面は、だだっ広く汚いバスルームの対角線上に、二人の男性が片足を壁に鎖で繋がれているところから始まる。
二人とも何者かに誘拐され、知らない間に拉致され、目覚めたのだ。
向かい合った彼らの中央には、片手に拳銃を握ったまま、醜く変形した頭を血溜まりに漬けている 「 死体 」 が横たわっている。
やがて、その部屋をひそかに監視している犯人側から 「 死のゲーム 」 の内容が告げられ、制限時間内に条件を満たせば解放されることを知る。
ただしそれは、相応の覚悟と、多大な犠牲を伴うものであった。
とまあ、こんな感じの映画である。
二人とも、犯人が 「 最近、世間を騒がせている連続殺人鬼 」 であることを知っており、過去の犯行を知っているだけに、さらに恐怖が倍加する。
この犯人は、「 命を大切にしない者 」 を標的に選び、極限的な死の恐怖を味わせることで、被害者の 「 生への執着 」 を試している。
過去の被害者の一人は連続放火魔で、やはり密室に監禁されていた。
彼は全身に可燃性の液体を塗られ、犯人から 「 暗闇でロウソクを頼りに、壁一面に書かれた数字を合計する 」 という指令を与えられる。
制限時間に焦った被害者は手を滑らせ、全身火だるまになって焼死する。
別の事件では、自殺癖のある中年男性がターゲットにされた。
彼は、かみそり状のワイヤーを張り巡らせた密室の中に監禁されており、時間内にそれをくぐり抜けて脱出すれば助かるという指令を受ける。
そのまま居れば餓死するのだが、助かろうと奮闘することで、自殺企図が 「 単に周囲の目をひきたいだけの愚かな行為 」 であったことが露呈する。
結局、彼は助かりたい一心で強引にワイヤーを抜けようとするのだが、血まみれになった状態で時間切れを迎え、むごたらしく死んでしまう。
唯一、犯人との 「 ゲームに勝利した 」 女性の生存者もいる。
彼女は、麻薬中毒者なのだが、同じ密室内に拉致されているルームメイトの胃袋の中に、拘束を解く 「 鍵 」 が忍ばせられている。
助かりたければ、彼の胃袋を引き裂いて、そこから鍵を取り出さなければならないのだが、彼は無抵抗ながら、まだ死んではいない。
彼女は悩んだ末、生きることを選択し、そして実行した。
警察の取調べで彼女は、「 生きることの尊さを教えてくれた 」 と犯人には感謝をし、それ以降、崇拝するという奇妙なエピソードも描かれる。
突然の不条理な誘拐によって、見知らぬ場所に監禁されているという設定は、映画 『 CUBE 』 にも登場している。
また、独自の正義に基づいて連続殺人を仕掛けるサイコキラーが登場するという点で、映画 『 セブン 』 を髣髴とさせる要素もある。
しかしながらこの作品は、どちらとも似ていないし、両方の作品を足したよりも、はるかに面白い仕上がりになっているといえるだろう。
脚本、主演を努めた リー・ワネル も、監督の ジェームズ・ワン も共に26歳という新鋭で、かつてない斬新な映像感覚も衝撃的だ。
犯人は誰かという 「 謎解き 」 の面白さや、トリックの妙味もあるところが、本作品を単に 「 グロテスクな悪趣味映画 」 で終わらせていない。
タイトルの 『 SAW 』 という単語には、いろいろな意味がある。
作品の中で、それが 「 語呂合わせ的に 」 登場するところも見逃せない。
当然、犯人に感情移入することなどできないし、その目的を肯定することなど許されないのだが、各被害者には共通する 「 問題点 」 がある。
自分から命を粗末にしているくせに、窮地に追い込まれると 「 人殺し 」 とか、「 助けろ 」 とか、犯人の冷酷さ、非情さに憤懣するのだ。
そういうことに 「 思い当たるフシ 」 がある人は、この映画を観ると、きっと普通の人よりも恐さが倍増して、よりスリリングな気分になれるだろう。
( 本日のおさらい )
「 ちょっと気持ち悪いのを我慢して、ぜひ映画館でご覧ください 」
|