抜け出せないままで。

いくら泣いたって、この想いが流れていくことはなくて。
ウジウジしててもしょうがないから、って
歯を食いしばって、上を向いて、頑張るって決めたの。


今でも覚えてる、あの日のこと。
震える手で、あの人からの手紙を。

差出人の名前はなかったけど、すぐに解った。
見覚えのある丸い字と、消印。
手にした時はもう、泣いてたっけ。
恐くて、信じられなくて、なかなか封が開けられなかった。
真夜中に一人、ベットの上で。

『ちひろんへ』

もう何もかもが哀しくて、涙で文字が読めなくて。

『ごめんね。ごめんね。』

あの人は、あたしを傷つけたって、そう言って・。
何度も何度も、何度もごめんね、って。
悪いのはあたしだったのに。
自分が辛いことしか考えてなくて、気持ち押し付けて。
傷つけたのはあたしの方だよって泣いて後悔したっけ。

一晩中泣いて、泣いて。
ちゃんと諦めなきゃって思ったのと同時に、
世界で一番、誰よりも何よりも、大切にしなきゃって思った。

友達に「好きならどうして諦めるの?」って聞かれて、
「本当に好きだから、だから諦めるんだよ」って答えた。
あの人の見る夢を、一緒に見たかったから。
余計な感情は捨てようと思った。
本気で応援したかったんだ、あの人の夢を。


彼女になれるなんてこと、あるわけないんだ。
それはもう解ってるよ。
でも、それでも好きだから。
あの人が頑張ってる姿を少しでも近くで見ていたいから。


2003年08月17日(日)

魔法がとけるまで。 / ちぃ。

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