シンデレラ。

12時の鐘が鳴ったら魔法は解けて、
夢のような世界から現実に引き戻されて。

シンデレラ。



長いようで短かった日々が終わった。
終わってみると、案外あっけないもので。
楽しみにしてたはずの昨日も、今は思い出したくもない。

でも、今でも鮮明に残ってる。
嫌な記憶ほど、強い思いほど、いつまでも覚えてるものだよね。
ホントは忘れられればラクなのに。

何で、彼が出て来る事知ってたの?
おかしいと思ったんだ。

あたしのすぐ近くにあの子がいて。
一番嫌いな部類の奴が彼の隣で彼に触れてて。
信じられないような光景。
あんた、一体誰?

だけど、あの子が傍に行くと彼は嬉しそうで。
一目散にあの子の元へ帰って行って。
あの子と視線を交わして。
もう、誰も見えてないみたい。

本当にあたしなんて、居ないみたい。

ヤケで飲みすぎたー。
ピッチャー一杯はけっこー軽かったね。
途中、一人で立ってられなくなってたもん。
バカだなぁ、醜態晒して。
どうでもイイ人と笑顔で喋ったりして。
横目で彼とあの子を追って。
相手にも失礼な事しちゃったな。

夜が明けて、彼はいなくなって。
あたしは彼を探して。
遠目で彼を捉えた時、隣には当たり前みたいにあの子がいて。

もうだめ。
もうやだ。

何でいるの?
いつまで一緒なの?

でも、彼はきっと楽しいんだろうな。

一人で嫉妬して、バカみたい。
もう頑張る気も失せたよ。
好きなのかもしれないけど、、、
あたしにもう少し、自信があればな。
こんなバカみたいな自分、やめたいけどね。

本当はしばらく会えないハズだったんだ。
だけど気付けば、どうにかして会いたいって思ってる。
ね、バカみたいでしょ?
あんなに愛しかったあの人と会う事よりも、
どこが好きかもわからない、彼に会いたいなんて。
ね、バカみたいだよね。


もう少しくらい、夢見させてよ。

ねぇ、あたしには最初から、
魔法なんてかかってなかったんだ。
2003年07月20日(日)

魔法がとけるまで。 / ちぃ。

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